山手線の内側にある「第一種低層住居専用地域」
「できるだけ都心に近いマンションを選びたい」。そんな住宅需要の傾向は今後ますます高まりそうだ。現在都心部では「東京五輪2020」に向け、都市機能強化を図るプロジェクトが目白押し。それはさらなる利便向上につながり、ひいては不動産価値を高めることに他ならない。では、「どこから、どこまでが都心なのか?」。誰もが一度は思い浮かべる問いかもしれない。さまざまな区分けが存在するように思われるし、明快な答えがあるのかどうかもわからないが、大方の納得を得られそうな候補のひとつに「山手線内側」が挙げられる。
しかし、ビルや商業施設が密集するオフィス・繁華街で住居を構えることに、二の足を踏む人もいるだろう。子育てなど「家族のために」がおもな購入動機となれば、何より「落ち着いた周辺環境」を優先したい。ここに利便と環境が相反する都心エリアならではの悩みがつきまとう。
好環境の代名詞「第一種低層住居専用地域」は、12種類存在する用途地域の中でもっとも規制の厳しい地域である。経済合理性よりも良好な住環境の維持を優先し、建物の高さや建ぺい率(*)、容積率を低く抑えている。空地割合が高く、建物のスケールが抑制された低層住宅街は、相対的に日当たりが良く、緑が多く、空さえ大きく感じられる。自然豊かな環境が自ずと形成されるよう計画されているのである。
*建ぺい率は、敷地面積に対する建築面積の割合。容積率は、同じく延床面積の割合。
山手線内側で、「第一種低層住居専用地域」に指定されているところが、わずかながらに存在する。まさに、住まいに求める二大要素「利便と環境」を共に享受できる一画である。行政区分は、渋谷区と文京区。下のイラスト地図をご覧いただければ、その希少性を実感してもらえるのではないだろうか。そして、今回取り上げる「ザ・パークハウス小日向」はその対象地域内に属している。
教育機関が集積する高台・文京区
良好な住宅地を指す「山の手」は、時代を経てその対象を増やしていったが、もとは「本郷台地」など武蔵野台地の東端がその主な該当地域であった。標高10メートル以下の低地と30メートル前後の高台地から構成される都心の地勢(地形の意)にあって、人の手のように入り組んで地盤が隆起する高燥地(高台の乾燥した土地)が「山の手」の語源。山の手は、梅雨をはじめとした日本特有の気候にあって、古来より住むに適した場所であることは遺跡発掘などからも証明されている。事実、前述「都心(渋谷区、文京区)第一種低層住居専用地域」では、ともに近くで集落の存在を示す「貝塚」等が発掘されている。「ザ・パークハウス小日向」現地は、驚くことに縄文時代から弥生~室町~江戸時代と数千年にわたる数々の遺跡が建設途中で発見された。その記録は時代ごとに色分けされ、説明看板として敷地内に設置されている。現地見学の際には、ぜひチェックしてみてはいかがだろうか。
文京区は教育機関が数多く集積する行政区としても知られる。東京メトロ丸の内線「茗荷谷」駅周辺には、その一端を存分に感じることができる空間が広がる。子育てに適した環境と申し上げたが、教育熱心な世帯にとってこれほど恵まれた立地条件はないようにも思う。通勤地が「大手町・丸の内」エリアならなおさら。最寄り駅「茗荷谷」から「大手町」駅へは直通10分、「東京」駅へは同11分である。
立地解説の最後に、あらためて第一種低層住居専用地域内に属する分譲マンションの少なさをデータ(*)で表そう。過去20年間で供給された新築マンションのなかで該当するのは23区内で5.6%、文京区内では3.3%。同期間で文京区小日向アドレスでの供給はわずか6物件である。希少性が高いといえそうだ。
*「不動産経済研究所」調べ
次のページでは、建物の特徴にフォーカスしたい。
取材協力:三菱地所レジデンス