夜中に目が覚める……もっとも多い不眠症のタイプとは
夜中に目が覚めるのは、つらいですね
- 寝つきが悪い(入眠障害)
- 夜中に目が覚める(中途覚醒)
- 朝早くに目覚めてしまう(早朝覚醒)
- よく眠った気がしない(熟睡障害)
日本の成人で最も多いタイプが、夜中に目が覚めてしまう「中途覚醒」で、約15%の人に見られます。原因としては加齢や飲酒、痛み、かゆみ、頻尿、うつ病、睡眠時無呼吸症候群、むずむず脚症候群、周期性四肢運動障害、レム睡眠行動障害、睡眠状態誤認(逆説性不眠症)などがあります。
歳をとると多くの人で、深い睡眠が減り浅い睡眠が増えます。これは生理的なものなので、一晩に2回くらいは起きても仕方がないのですが、3回以上目覚めると睡眠がこま切れとなり、日中の生活にも悪影響がでることがあります。日中に十分な光を浴びたり運動したりして、夕方以降はカフェインや明るい光を避けるなど工夫してみましょう。
眠る前にお酒を飲むと、寝つきはよくなります。しかし、アルコールが分解されて血液の中の濃度が下がってくると、睡眠が浅くなります。さらに、アルコールはおしっこの量を増やすので、トイレのために目が覚めやすくなります。お酒を飲むなら、適量を眠る3時間前までにしておきましょう。
夜中に目が覚める原因となる症状・疑われる病気
■からだの痛みやかゆみが原因の中途覚醒からだの痛みやかゆみで目覚めることもよくあります。不眠症の原因で最も多いのが、体の症状とも言われています。痛みやかゆみで眠れないなら、きちんと医療機関を受診して治療を受けましょう。
■トイレに何回も起きてしまう場合、別の病気の可能性も
トイレに何回も起きてしまう、という声もよく聞きます。目が覚めるからトイレへ行くという方もおられますが、前立腺肥大症や膀胱炎など尿路感染症があると、トイレが近くなります。日中にもおしっこの症状がある人は、泌尿器科の医師に相談しましょう。高血圧や心不全などの治療のために利尿薬を飲んでいる人は、朝に薬を飲むと夜トイレに起きなくなることがあります。
■眠っている間に息が止まってしまう「睡眠時無呼吸症候群」
眠っている間に息が止まる病気を「睡眠時無呼吸症候群」といいます。いびきをかいている人が急に呼吸しなくなり、しばらくすると大きないびきとともに再び呼吸しはじめるのが特徴です。太った中高年の男性だけでなく、顎が小さい女性も要注意です。若い人に比べて高齢者ほど、夜中に目覚めやすくなります。最近では、睡眠時無呼吸症候群の検査を自宅でも受けられますので、疑わしい方は医療機関を受診してください。
■眠っているあいだに足が動いてしまう、動かしたくなる「周期性四肢運動障害」
眠っているあいだに足が動いてしまう病気に、「周期性四肢運動障害」があります。この病気では自分の意思と関係なく、規則正しいリズムで足が動いてしまいます。足の指が動くだけの人から、布団をはね飛ばしてしまうほど激しい人もいます。多くの人は足の動きに気づいていないので、なぜ目が覚めるのか自覚していないことがよくあります。
足に関係する病気に、「むずむず脚症候群」というものもあります。こちらは脚の違和感のために、脚を動かしたくなる病気です。むずむず脚症候群の患者さんの8割に、周期性四肢運動が起こるといわれています。どちらの病気もよく効く薬がありますから、心配なときは睡眠障害の専門医を受診しましょう。
■夢と連動してからだが動いてしまう「レム睡眠行動障害」
夢を見ているあいだ、手足の筋肉は動かないようになっています。夢のとおりに体を動かしたら危ないからです。ところが、この仕組みがうまく働かない人がいます。「レム睡眠行動障害」という病気の患者さんは、夢と同じに体を動かしたり寝言をいったりします。そしてそのときに目を覚ますことがあります。この病気の人は、自分がけがをしたり家族にけがをさせたりすることがあるので、早めに専門医に相談してください。
不眠症は精神科的な病気が原因のことも
うつ病の患者さんの95%に睡眠障害があり、その9割以上が不眠といわれています。うつ病の方の睡眠の特徴は、昼も夜も眠れないことです。他の原因による不眠症では、夜に眠れなかったため日中に眠くなりますが、うつ病では昼も仮眠をとれません。くわえて、これまで興味があったことに無関心になったり、やる気や意欲がなくなったりしたら、早めに精神科や心療内科の医師に相談しましょう。
最後に、「睡眠状態誤認」をご紹介します。文字どおり、自分の睡眠の状態を勘違いすることです。実際には眠っている間のことなどきちんと分かるわけがないのですが、睡眠状態を誤認している人は悪いほうに勘違いしているのが問題です。
たとえば、夜中に10回以上目が覚めるとか、目が覚めると朝まで一睡もできないという人の脳波を調べると、睡眠に問題がない人と同じぐらいよく眠っていることがあります。睡眠状態誤認の方には、病院で睡眠の検査をして結果を見ながら説明しています。
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