京都・出町柳に和の新店! 弧玖(こきゅう)
店名は「弧玖」。「こきゅう」と読みます。
賀茂川と高野川が合流して鴨川となる地点が「出町柳」。鴨川に掛かる加茂大橋から北を眺めると、三角州を挟んで両側から流れ込む川と遥か向こうに連なる北山連山が屏風絵のように拡がります。
このあたりは春は桜の名所、初夏には葵祭りの通り道にもなり、何と言っても夏の終わりに大文字の送り火「大」と「妙法」がドーンと真正面に大きく見える特等席ですので、京都に住んでいる小さな幸せを感じる地点のひとつなのです。
ここからほど近い河原町通り沿いに豆餅で有名な「出町ふたば」がありますが、そこから少し北に上がった町家に2015年10月、日本料理店「
弧玖」が開店しました。ご主人は前田 翔さん、姫路のご出身で今年33歳。年初に惜しまれつつ27年間の歴史に幕を下ろされた烏丸の「桜田」で長年修業され、その味をしっかりと担っておられた方です。
カウンター席
「弧玖」の字が染め抜かれた真っ青な暖簾をくぐり、坪庭を愛でながら進むと白木のカウンターが清々しい9人掛けのカウンター席が目に飛び込んできます。竹の天井や無垢の栗の明るい床が醸し出す何とも上品でしっとりとした空間となっています。
個室もあります。
その手前には一転、濃い茶のフローリングとテーブルでほの暗く演出された個室が設けられています。楚々とした和服で給仕されるのは奥様。優しく親しみやすいサービスと会話で場が和みます。
昼膳から御紹介
それでは、昼コース5000円(税サ別)からの料理を御紹介していきましょう。
・先附
柚子釜
まずは、食前酒として宮城の酒「山和」をいただき、その後に先附が登場となります。その先附は「柚子釜」。焼き目を付けて香りを際立たせた柚子皮を器にし、中に御粥と「このわた」、「蟹身」をたっぷりと入れた冬ならではの逸品です。
・椀物
椀物
椀物は「カサゴのしんじょう」と「玉子豆腐」。「しんじょう」の中にはカサゴに身がぎっしりと詰まっており、食べ応えも抜群。玉子豆腐も滑らかで、これら椀種の完成度の高さだけでも前田さんの実力と美意識の高さが伺えます。
それでは、次ページからは
ジオラマのような美しい盛り付けの八寸や御飯、水物などを御紹介していきます。