「ほんまもん」の老舗料亭

道楽。 外観。
380年前の建築物だけあり、風情抜群。 鄙びた看板も歴史を感じさせます。
「豊国神社」と聞いても、かなりの京都通でなければ、その由緒と正確なロケーションを、すぐさま言える方は少ないのではないでしょうか。ここはかの豊臣秀吉をお祀りしてある神社。東山の主だった観光スポットからは少し離れているのですが、アクセスは意外と便利で京阪電車の「七条駅」から歩いて5~6分ほど。

道楽 坪庭。
日差しの入り方がなんとも「粋」。 玄関先の坪庭も素晴らしい。
地元の人に「ほうこくさん」と呼び慣わされる、この神社の正面から鴨川に向かって、真っ直ぐ延びる「正面通」に、今は遡ること380年前(寛永年間)、当初は茶店として創業されたのが京料理「道楽」です。当代で創業から14代目、料亭となってからは10代目の当主は飯田知史さん。

京料理。 庭。
待合室は洋風になっています。 よく手入れされた庭も料亭ならではの魅力。
正面通に面した玄関部分は歴史的意匠建造物に指定されていて、380年前の創業当時そのまま。ほの暗い玄関に一歩足を踏み入れて、板の間の向こうに浮かび上がる坪庭を見ると、遠路はるばるここへ辿り着いて、これから戴くお料理に期待を膨らませる、その昔の旅人のような気分です。

京料理 部屋。
廊下も良い感じで年季が入っています。 個室のテーブル席。
黒光りする板の間に上がり、坪庭の周囲ををぐるりと回って案内された奥の建物も、少し新しいとはいえ明治時代中期の築。明治時代には宮内庁御用達でもあったといいますから、この廊下を何人もの高官が行き来したことでしょう。

内装。 よし戸。
部屋の設えを愛でるのは、料亭で食事をする楽しみの一つ。 夏らしく「葦戸」が涼しさを演出。
この日招じ入れられたのは庭の見える「呉竹」の間。葦(よし)戸越しに透けて見える庭が何とも涼やかです。襖絵や掛け軸、天井の意匠などには、新興の料理屋には望むべくもない歴史の重みが感じられ、食事とはただ食べることではなく、風雅な室礼(しつらい)の中で、五感を満たす至福の時間を過ごすことと教えてくれます。

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