CSVとは何か? CSRの次なるもの
CSVは共存共栄モデル、結果的にWIN-WINを実現する。
CSVに至る変遷について
80年代のポーター氏の戦略策定のコンセプトを一言で言うと、“相手をいかに打ち負かすか”ということです。競合他社を意識して、SWOT分析やバリューチェーン等の有名なフレームワークを用いて分析し、競争優位性を生みだすことに注力をしていた時代です。90年代に入り、インターネットが出現し、コミュニケーション構造が劇的に変わりました。また、1995年にWTO(世界貿易機関)が設立され、世界的な貿易の統一ルールが出来上がるとともに、気がつくと2000年頃には世界はフラット化しました。
このような環境変化により、従来の競争優位の戦略は時代環境とのギャップが生じ、次に打ち出した考えが新しい社会的価値の創造を果たす事業こそが経済的な価値を生み、社会的な問題解決ができるというCSVなのです。敵をいかに打ち負かすというややもすれば個人主義的な考えから、売り手を買い手と社会が共存共栄するような考え方へ移行したのです。
実はCSVの考えが登場する前にも、企業は「企業活動で社会に与えた影響に対応する」という考え方に基づき、環境対策やコンプライアンス(法令遵守)の実施といったCSRに取り組んできた背景がありました。企業は営利追求という経済体のみならず、社会体としての責任も考えなければならなくなったのです。1990年代以降、フィランソロピー(慈善活動)はブームとなりました。
しかし、本質的に利潤の追求を目的とする企業と、CSRの一環としての寄付や社会貢献活動を通じて社会的な問題の解決を目指す従来型のCSRには大きな隔たりがあります。企業による慈善活動的な社会貢献だけでは新たな価値創造や社会変革を起こすことはできないとポーター氏は力説します。ここで生まれたのがCSVです。