ストレス/ストレスフリーの思考術

プラトー期からの脱出法…ダイエットや勉強の停滞期に

【公認心理師が解説】ダイエットやスポーツ、勉強などを続けていると、頑張っているのに伸び悩む、いわゆる「スランプ」「停滞期」が訪れます。これを「プラトー期」と言います。プラトー期から脱出するには、自覚とメニューのアレンジがカギ。具体的な方法をご紹介します。

大美賀 直子

執筆者:大美賀 直子

公認心理師・産業カウンセラー /ストレス ガイド

「プラトー期」とは……ダイエット・スポーツ・勉強が伸び悩む停滞期

プラトー期・ダイエットや勉強の停滞期の突破法

最初は面白いように成績が伸びたのに、最近ちっとも成績が上がらない……。

ダイエット、スポーツ、受験勉強や習い事など、何かに取り組み始めると最初は面白いように結果が現れ、手ごたえを感じられるものです。しかししばらくすると、同じように頑張っているのに結果が伸びない「停滞期」に入ります。この停滞期を「プラトー期」(高原期)と呼びます。

プラトー期は、学習や練習を継続していく上での「試練」の時期。当初のように目立った成果が現れないことに嫌気が差し、学習や練習を投げ出したくなってしまう時期なのです。

学習や練習をしていれば、プラトー期は必ず訪れます。しかし、多くの人にはこの時期の意味を知らないため、一人で悩んでしまいます。その結果、意欲を失ってしまう人は多く、「成績が伸びないのは、向いてないから」「自分には才能がない」「何をやってもムダ」などと短絡的に判断し、他のことに目移りしたり、自己嫌悪に陥ってしまったりします。
 

プラトー期を突破する2つの方法

しかし、こうした理由で学習・練習をやめてしまうのは、とてももったいないことです。なぜなら、プラトー期は誰もが通る通関点であり、ここさえ抜ければ、またぐんと結果が伸び、学習・練習の効果を感じる時期がやって来るからです。では、どのようにこのプラトー期を乗り越えていけばいいのでしょう?
 
「プラトー期」を乗り越えるために押さえたいのは、次の2つのポイントです。

1. 「プラトー期」に突入していることを自覚する

学習・練習を始めてある程度成果が伸びた後、急に伸び悩みを感じたら、その時期こそプラトー期突入のサインです。伸び悩みがプラトー現象であることを自覚できたかどうかで、その後の学習・練習へのモチベーションは分かれます。

まずは、「いまは思うように伸びなくて当たり前」「ここで結果が出ないのは、“限界”だからではない」と自分に言い聞かせること。そして、いまは結果にはとらわれず、学習・練習を続けていきましょう。


2.  学習・練習のやり方やメニューを工夫する
トレーニング中の女性

伸び悩んだら、練習方法を変えてみるべし


プラトー期は誰にでも訪れる伸び悩みの時期。だからといって、ただ結果の出ない苦しみに耐え、「根性」「我慢」で続けていけばいいわけではありません。

「伸び悩み」は、学習・練習方法に工夫を凝らすタイミングであることを知らせるサインでもあります。たとえば、学習・練習に新鮮さを感じられなくなっていることが影響しているかもしれません。その場合、今までとは少し違う刺激を加えてみたり、別のメニューを取り入れてみるのも良い方法です。

勉強の場合、1章、2章と順番に読み進めてきた学習方法をいったんやめ、興味のある章から勉強してみてはどうでしょう? こうして好きなことから勉強すると、学習効果がアップするかもしれません。
 
スポーツの場合、それまで有酸素運動などの動的なメニューを中心にトレーニングしていたなら、柔軟体操などの静的なメニューを中心に変えてみてはどうでしょう? 身体を別の方向から刺激することで、思いがけないトレーニング効果が得られるかもしれません。

このように、「いつもの学習・練習」に新たな刺激を加えることで、新たな発見を見出すことも、プラトー期の突破につながります。
 

プラトー期を乗り越えるヒントは「小さな工夫」にあり

少し話が飛びますが、プラトー期を乗り越えるヒントにつながるエピソードをお話しましょう。メジャーリーグで活躍していたイチローは、「オールドスタイル」というソックスを見せるユニフォームの着方に替えたことが話題になりました。ここに、プラトー期を乗り越えるヒントがあります。

イチローがオールドスタイルに替えたのは、スランプに陥っていた時でした。練習中に何気なくオールドスタイルに変えたところ、いままでとは全く異なる動きやすさ、走りやすさを感じ、衝撃を受けたのだそうです。イチローは「こんな単純なことになぜいままで気づかなかったのだろう。自分が恥ずかしくなった」と、あるテレビ番組で心境を語っていました。頂点を極める人は、スランプに陥った時に小さな工夫を試み、打開しているのです。

プラトー期を乗り越える人、そこで挫折する人の差もここにあると思います。つまり、伸び悩みを感じたときに工夫をしながら新境地にたどりつくか、「伸びない」「つまらない」と嘆きながら惰性でやるだけか――、この差がプラトー期を突破する人、挫折する人を分ける分岐点になると言えるでしょう。

さああなたも、うまく成績が伸びない時には、ふと思いついた「小さな工夫」を試してみることから始めてみませんか?

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