理想をもつことはいいことだけれど……

シャンパンで乾杯

夢は人生を豊かにしてくれるもの。でも、こだわりすぎると?

人は誰でも理想を抱くいきもの。「王子様と結婚して、お城のような家で暮らしたい」「ビッグアーティストになって、VIPな生活を手に入れたい」――子どもや若者は、そんな大きな夢を描いて、ワクワクするものです。

理想は自分を磨き、努力することへの動機づけになります。理想をなくせば、現実の生活に追われるだけで、人生は殺伐としてしまうでしょう。

一方で、理想にこだわる行動が、困った結末を呼び寄せてしまうこともあります。たとえば、王子様との幸せな結婚にこだわり続け、いつまでも結婚できずにいる人。ビッグアーティストになる夢にこだわり続け、何十年も一人身の貧乏暮しを続けている人……。このように、理想にこだわりすぎた結果、現実の幸せを逃している人は、少なくありません。

現実が理想や義務と大きくずれると、人は不安定になる

理想にこだわりすぎて、幸せが遠のいているように感じたら、まず自分自身を見つめてみましょう。

自己を構成する概念には、「“ありのまま”の自分」(現実自己)のほか、「“こうなりたい”自分」(理想自己)や「“こうあるべき”自分」(義務自己)などがあります。社会心理学者のヒギンスは、現実自己が理想自己や義務自己と大きくずれると、ネガティブな感情に陥りやすくなると説明しました。これを「セルフ・ディスクレパンシー理論」と呼びます。

この理論では、現実自己が理想自己と大きくずれると、落胆や失望を感じやすくなるとされています。たとえば、「王子様」との結婚を目指して、何度も婚活にアタックしているのに一向に実らない。ビッグアーティストになりたくて何年も頑張っているのに、まったく芽が出ない。このように理想と現実とのギャップが大きいと、自分自身に落胆し、失望してしまいます。

一方、現実自己が義務自己と大きくずれると、不安や心配が生じやすくなるとされています。たとえば、「王子様」との出会いばかり夢見て、結婚が実現しないと、「このままで大丈夫だろうか?」という不安が生じてしまいます。ビッグアーティストになることにこだわり、その日暮らしの生活をしていると、「将来は大丈夫だろうか?」という心配が生じてしまいます。

では、現実の自分は理想や義務とどのように折り合いをつけていけばいいのでしょう? 次のページでそのヒントをお伝えします。