リーダーシップ/リーダーシップの基本知識

真のリーダーが実践するべき「7つの習慣」とは?

リーダーシップについて語る名著として、スティーブン・コヴィー著「7つの習慣」をご紹介します。7つの習慣が獲得できれば、リーダーとして自立、更には相互依存のステージに、また私的成功から公的成功へと導かれるのです。ぜひ参考にしてみてくださいね。

藤田 聰

執筆者:藤田 聰

キャリアプラン・リーダーシップガイド

<目次>

リーダーが実践するべき「7つの習慣」

リーダーが実践するべき習慣とは

良い習慣こそ、良い人格を形成する

リーダーシップについて語っている名著である、スティーブン・コヴィー著「7つの習慣」とガイドが出会ったのは90年代中盤で今からもう20年近く前のことです。東京の神田界隈の当時の小さな事務所で翻訳者でもある代表のスキナー氏と歓談しました。日本語版がリリースされる頃です。彼は一生懸命英語でメモを書きながら、流暢な日本語で熱心に説明されたことを鮮明に覚えています。
 

良い習慣こそがリーダーシップに繋がる

この本はコヴィー・リーダーシップ・センターの創立会長であるスティーブン・コヴィー氏の著作です。今でも海外の国際空港内の書店に置かれているロングセラーで、全世界で3000万部売れているバイブル的な名著です。日本でも累計180万部を売り上げています。

以下、この本のエッセンスを中心にガイドなりに解説していきたいと思います。どうしてこの本が役に立つかというと、良い習慣こそがリーダーシップに繋がるという、原理・原則に基づいており、共感すれば即行動に移すことができるからです。この本を通じて、自己を発見し、自己を変革された人も多いことでしょう。

まず、冒頭で「パラダイムと原則について」が書かれています。そこでは“正しい生き方なくして真の成功はあり得ない”と記されています。つまり真の成功とは、自分だけの繁栄という個性主義による成功でも、表面的・経済的な成功でもなく、優れた人格を持つことによって導かれる成功だと説いています。

パラダイムとはモノの見方を示します。著者のコヴィー氏は、優れた人格が原理・原則中心のパラダイムに立脚すると考えています。人格は繰り返す行動の総計であり、それゆえ単発的な行動ではなく、習慣こそが重要と謳っています。
 

人間の成長過程は3つのステージに分けられる

人間の成長過程は3つのステージから成り立ちます。20年前に会った際、スキナー氏が書いた英語のメモではここが一番印象的でした。それは共通部分であるdependent(依存)の頭に、in-(自立)やinter-(相互依存)が付くと成長のステージが上がるということです。

成長のステージとは依存のステージ→自立のステージ→相互依存のステージ、英語であれば、dependentindependentinterdependentと大変分かりやすいものです。インターネット以前の80年代に創られたフレームワークですが、今のようなフラットなネットワーク社会でも十分に共感できるものです。

依存のステージはまだまだ半人前の状態をイメージして下さい。この状態ではまず、3つの習慣がきちんと獲得できれば、次の自立のステージとなります。これは私的成功のレベルといえます。ここで一人前となって始めて、管理・監督できるレベル、つまり真のリーダーとなれるのです。
 

第一のステージ(依存のステージ)

一日一日の積み重ねが今日の自分を創るのです

一日一日の積み重ねが今日の自分を創るのです

1. 主体性を発揮する
• 自分の身に起こることに対して自分がどういう態度を示し行動するかは、自らで決めることができる。問題解決に向け率先してことを行う。
• 自分の身の周りのことに対して、自分が動かされるのではなく、自分が周りの環境に作用を及ぼす。
• より良いものを持つのではなく、自分がより良くなる。失敗したときに、自分の間違いを認め修正をはかる。

2. 目的を持って始める
• 第二の習慣は、生活の多くの異なる状況やレベルに当てはまるが、最も基本的な応用は、全てを測るための基準や尺度の枠組みとして、人生の最後のイメージ、光景、パラダイムを持って今日を始めることである。
ミッション・ステートメント(個人的な憲法、または信条)を作る。

3. 重要事項を優先する
• 第2の習慣を身に付けたなら、それを具現化し、自由意志を発揮し、毎日の瞬間瞬間において実行する。価値観に調和した生活を送るために、効果的な自己管理を行う。
• 重要だが緊急でない活動を行う。重要でない活動に対してノーと言う。
• 人に仕事を委任する。

以上の3つの習慣を獲得すると自立のステージです。自立している状態は一人前と言え、部下を統率できるリーダー的な存在となります。リーダー職、管理職のイメージでよいでしょう。

次のステージでは、Win-Winを考える、理解してから理解される、相乗効果を発揮するという新たな3つの習慣です。この3つの習慣は個のレベルから離れ、他者との関係性に立脚するものです。
 

第二のステージ(自立のステージ)

4. Win-Winを考える
• 人間関係における6つのパラダイムは「Win-Win」「Win-Lose」「Lose-Win」「Lose-Lose」「Win」「Win-WinまたはNo Deal」である。
• Win-Winの原則を支える5つの柱「人格」「関係」「合意」「システム」「プロセス」である。
・Win-Winの関係を築けるように考える

5. 理解してから理解される
• まず相手を理解するように努め、その後で、自分を理解してもらうようにする。
• 自分が他人に影響を与えるために、自分が他人に影響される。
• 感情移入を行い人の話を深く傾聴する。一対一の時間を設けコミュニケーションを図る。

6. 相乗効果を発揮する
• 相乗効果とは、全体の合計が各部分の和よりも大きくなるということである。
• 自分と他人との意見に相違が生じた時に、自分の意見を通すのでなく、他人の意見に折れるのでもなく、第三案を探し出す。
• 自分と他人との相違点を尊ぶ。

この3つの習慣が獲得できれば、最上位のステージである相互依存のステージとなります。公的成功のレベルです。個としても技能的に自立できていて、リーダーとしても十分な他者との関係性が構築できていれば、全体の舵取りを行う経営職レベルと考えられます。

最後に、全てのステージに共通とされる7つ目の習慣は刃を研ぐということです。これはレベルに関係なく、絶えず4つの資源を磨くことは必須要件です。

7. 刃を研ぐ
• 人の持つ4つの資源(肉体、精神、知性、社会・情緒)を維持、再新再生するという習慣。つまり学び続けるということ。
• 例として、運動(肉体)、価値観に対する決意(精神)、読書(知性)、公的成功(社会・情緒)などに取り組むことが紹介される。

以上がこの本のエッセンスを纏めたものですが、具体的な事例も多く、わかりやすい内容になっていることが多くの読者に支持されている理由かと思います。一読する価値がある本だと思います。

リーダーシップ論のジャンルとしてはセルフリーダーシップ(以下、関連記事ご参照下さい)に該当するでしょう。テクニック的なものではなく、原理・原則である習慣にフォーカスしているので、時代を越えて共感できるのでしょう。

【紹介図書】
「7つの習慣」スティーブン・R.コヴィー著

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※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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