事業部制とは?

事業部制とカンパニー制は、導入目的から違います

事業部制とカンパニー制は、導入目的から違います

製品カテゴリや地域といった区分をもとに管理を分けて、予算策定や業績管理を行う形態を事業部制といいます。たとえば、家電製造の会社で事業部制を採用した場合、全社で売上いくら、利益はいくらといった形ではなく、テレビ部門、エアコン部門などのように部門ごとに分割して、数値・業績管理を行います。事業部の業績が悪ければ、本部の裁量により、事業部廃止や再編などが行われます。

事業部制は、20世紀初頭に、アメリカでGEやGMなど多品種を製造する大企業の台頭とともに、業績の管理をしやすくするために生み出されました。どの製品の収益性が高いのかといったことなども、事業部制を採用することで格段に把握しやすくなりました。日本では、1933年に松下電器(現在のパナソニック株式会社)が初めて導入したといわれています。

事業部制では、事業部間のコスト負担の決定も重要です。人事などの間接部門コストは、決められた基準で各事業部に配賦され、事業部損益の決定にも影響しますので、事業部制では、管理会計の仕事もかなりシビアです。

カンパニー制とは?

社会が成熟化し、モノが広く行き渡ると、作れば売れるという時代ではなくなりました。そのため、数値管理だけではなく、より広い権限を現場に移譲して、より効率的な製品やサービスの開発が求められるようになりました。そこで導入が増えてきたのがカンパニー制です。カンパニーごとに人事権や投資権などの裁量を持つことで、意思決定のスピード化や開発の効率化が実現できます。日本では、1994年にソニー株式会社が上場企業として初めてカンパニー制を採用しました。

更に、カンパニー制には、社内でカンパニーを設ける社内カンパニー制度、会社自体を分ける社外カンパニー制度があります。社外カンパニー制度では、各カンパニーの株式を保有する持株会社が作られることがあります。よく○○ホールディングスという社名を耳にしますが、そうした会社の多くが持株会社です。持株会社はグループ全体の方向性などは決めますが、実際の経営は各カンパニーが行います。

事業部制とカンパニー制の違い

両者を一言で表すならば、事業部制は管理を目的とした制度、カンパニー制は成長を目的とした制度ということができます。

もちろん事業部制でも成長は目指します。しかし経済が右肩上がりの20世紀では、増えていく製品や部門を管理し、選択と集中を行うことが経営の重要課題でした。そのため数値管理に主眼を置いた事業部制が広く用いられたのです。事業部制では、各事業部ごとの数値・業績管理はしますが、採用・異動などの人事権や、事業投資、財務経理といったヒトやカネに関することは、本部が管理します。

これに対してカンパニー制は、事業部制で本部が行っていたヒトやカネに関することも、各カンパニーが行います。各カンパニーが一つの経営主体となり、トップは社長として、事業部制での事業本部長以上の権限を与えられます。消費者のニーズが多様化する中で、各カンパニーが広く裁量をもって動くことが求められるようになったのです。

カンパニー制では、権限の移譲によって、グループ全体としての統一が取れないといわれることがあります。しかし、カンパニー制が経営スピードのアップを目的に導入されているため、むしろカンパニーの変化がグループ全体の方向性を定めていくボトムアップこそが、カンパニー制の目的といえます。

1990年代から2000年代にかけて、大企業を中心に事業部制からカンパニー制に移行しました。新しいものがよいとは限りませんが、変化に富む現代においては、経営の裁量の移譲度が高いカンパニー制の方が主流になっていくでしょう。