聞いているようで聞いていない……人の話が聞けない原因は? 

聞いているようで聞いてない……話を聞きながら、頭の中は別世界

聞いているようで聞いてない……話を聞きながら、頭の中は別世界


この社内コミュニケーションのコーナーでは、今まで、コミュニケーションを取ろうとする側について記してきました。いかにすればメッセージが伝わるのか、理解してもらえるのか、はたまた行動してもらえるのか。その工夫や考え方について記してきました。

しかし、お伝えしているように、「コミュニケーションは受け手により成立する」という原則がある限り、コミュニケーションを取ろうとする側の努力には限界があります。むしろ、コミュニケーションを受ける側の努力や姿勢が、メッセージ伝達には必要であり、それにより良好なコミュニケーションが成立するのです。

最も伝わるコミュニケーションは、Face to Faceの一対一のコミュニケーションで す。目の前にコミュニケーションをする相手が居れば、その方に合わせた話のレベルでコミュニケーションがとれますし、その反応を見て対応が可能です。

しかし、目の前で話をしていても、受け手が集中して聞いているかどうかは定かではありません。聞いているようで聞いていない。集中しているようで他のことを考えている。そのような事態が生じているのです。それはなぜなのでしょうか?  

話す能力と聴く能力の格差が原因?

ある調査によりますと、日本人の話すスピードは毎分400字程度である一方で、聴くスピードは毎分2000字程度であるとのこと。つまり、人間の話す能力と聴く能力には大きな開きがあることになります。

人の話を聴くときには、脳が持っている聴く能力に対して、かなり遅いスピードで話がされている状態となります。つまり、脳にとっては、持っている能力と比べてかなり余裕がある状態で聴いていることになります。この余裕がある状態が「曲者」なのです。

脳に余裕があるので、話を聴きながら、つい他のことを考えてしまうのです。能力的に考えられてしまうのです。脳の持っている処理能力に余裕があるので、他のことを考えながらも、なんとか聴くことができるのです。もちろん、集中して聴いている状態と比較すれば、その理解度も格段に落ちますが、適度に相槌を打ったり、他のことを考えながらも、話の前後の繋がりをつけて、さも聞いているように対応できてしまうのです。逆に言えば、それだけ脳の能力は高いと言えるのかもしれません。
 

聞いているようで聞いていない対処法:コミュニケーションの集中継続

話を聞きながら、頭の中は別世界

話を聞きながら、頭の中は別世界


人の話を聴いている途中で、いま抱えている仕事で忘れていたことが頭をよぎり、そのことを考えてしまい、ふと我に戻ったときには、話は進み、肝心の部分を聞きもらしてしまった。あるいは、話されていることからヒントを得てしまい、頭の中でそのヒントからいろいろと考えだして別世界に行ってしまう。

または、人の話はしっかりと聴いているのですが、聴いている途中で、その人が何を言わんとしているのかを考えだしたり、細かい部分が気になって途中から上の空になってしまうとか、言っている内容に心の中で反対し始めて、集中が途切れてしまうとか。

例え、一対一のコミュニケーションであっても、相手は集中して聴いているか分からないのです。集中していなければ、しっかりとメッセージが伝わるかどうかわかりません。コミュニケーションの集中を継続する努力が必要になるのです。
 

コミュニケーションにおいて、どうやって相手の集中力を継続させるか

受け手の集中を継続させるには、適度に質問をすることが一つの方法です。よくセミナーとか研修で、講師が質問し始めると、受講者の緊張は一気に高まり、集中し始めます。話についていけないと、質問に答えられないからです。

あるいは、受け手の興味関心事の話がされ始めると、集中して聴き始めます。セミナーの場だと、事例を紹介し始めると、聴衆の顔が一斉にこちらを向きます。事例は、身近なことであるとともに、具体的なイメージが湧くからです。また、勉強される方はとにかく事例を欲しがる傾向もあるからです。どうすれば良いか、という解決策を欲しがるからです。

だとしたら、コミュニケーションの相手が、どのようなことに興味があるか、どのような話の内容だとしたら食いついてくるかを把握しておくことが必要になります。事例なのか、考え方なのか。その点を強調してあげると良いでしょう。

また、話の長さ、伝えようとするメッセージの分量にも配慮が必要です。ある心理学者による、某会社のコマーシャルポスターでの実験ですが、文字数が50字と150字、どちらの方を読んだかというが実験がありました。結果は50字の方。文字数が多いと、そもそも読まれないという傾向があるようです。またある実験では、メッセージが1本のポスターと、メッセージが10本のポスター。どちらが記憶に残ったかというと、メッセージが1本のポスターの方。つまり、伝えるには極力メッセージを絞り込む、そして少ない文字数で表現するという配慮が必要となってきます。

脳の能力が優れていることで傾聴ができないということ以外にも、コミュニケーションを取ろうとする人の態度に傾聴の妨げになる要因があることがあります。話している態度が気に食わないとか、何か一言に対して「かちん」ときてしまい、それ以降は全く真面目に聴こうとしなくなってしまう。このような感情に左右されると、傾聴することができなくなります。

ですから、コミユニケーションを取ろうとする人は、その態度に気を付けるとともに、コミュニケーションの受け手は、話を聴く際は私情を交えずに、話している内容、その内容の是非の判断に集中することが重要です。嫌な態度であっても、聴いておくべき内容であるかもしれません。

とにかくメッセージをしっかりと伝えることは難しいものです。話し手と受け手の共同作業によりメッセージは伝わっていきます。どちらか一方の努力だけでは、なかなか伝わらないものです。聞いているようで聞いていない。これもまた現実であると意識しておきましょう。

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