企業経営のノウハウ

株主総会とは?どんなことを決める?

毎年5月から6月頃になるとよく目にする「株主総会」という言葉。普段から株式投資している方には馴染みのある言葉ですが、そうでなければ言葉を知っているくらいで、一体どんなものか分からない方も多いのではないでしょうか? 今回は、そんな方のために、株主総会とはどんなものかを説明します。

渋田 貴正

執筆者:渋田 貴正

企業経営のサポートガイド

株主総会とは?

株主総会

株主総会は、株主が自らの権利を守るため、様々な決議が行われます。


株主総会とは、読んで字のごとく株主が集まって会社の重要事項を取り決める会です。

株主が出したお金を元手に経営を行う株式会社においては、「会社は株主のもの」ということが言われます。そうはいっても、日々の経営において株主の意見を毎回聞いていたのでは手間や時間がかかります。そこで、日々の経営は取締役などの経営者に任せて、一定の重要事項だけを株主の合意のもとに行う、ということになっています。そして株主の合意(決議と呼ばれます)をとる場が株主総会と呼ばれるイベントなのです。

株主総会には、主に2種類あります。

一つは臨時株主総会と呼ばれるものです。その名の通り、会社の合併など臨時で発生する重要事項を決議するために開催されます。

そしてもう一つが定時株主総会と呼ばれるものです。法律上、株式会社は、決算終了後、1回は株主総会を開催しなければなりません。この決まって一回開催される株主総会を定時株主総会といいます。大体の会社は、「決算終了後3か月以内に開催する」と決めています。日本の会社は3月決算が多いため、そこから3か月となる6月に多くの株主総会が開催されるのです。一般的には、株主総会といえば、定時株主総会を指す場合が多いため、以下、株主総会といえば定時株主総会を指すことにします。

株主総会では何を決議する?


株主総会で決議することは多岐に渡りますが、主なものとして取締役など役員の選任があります。

株式会社は取締役などの経営陣が、株主から受けた出資金を元手に利益を上げていき、利益の一部を配当の形で株主に還元します。株主にとっては「誰が取締役になるか」ということは、自らの取り分を左右する重要事項です。そこで取締役などの経営陣については、会社が候補者を提示しますが、実際に決議するのは株主となります。

以前は、会社が提示した候補者が総会の決議で否決されることはほとんどなかったのですが、近年では、株主の権利意識の高まりや、会社への投資でお金を稼ぐ投資ファンドが株主であるケースが多くなったため、会社が提示した役員の案が否決される、もしくは否決されそうになる例も増えてきています。

上場会社では、取締役の任期は最長でも2年なので、少なくとも2年ごとには株主総会で役員が選任されます。いわば、取締役にとっては、株主総会は、自らの経営に対する審判の時と言ってもよいでしょう。

そのほかに決議することとしては、配当の金額や、役員に対する報酬の総額、役員に対する退職金などがあります。いずれも直接的または間接的に株主の利益に直結することが中心です。

株主総会の開催方法は?


株主総会は、上場企業など多くの株主がいる会社では、それなりの大きさの会場を用意しなければなりません。大きなホールを借りるなどそれなりに会社もお金をかけて株主総会に向けて準備します。

通常は2週間前までに、株主総会の開催日時や場所などを記載した書類(招集通知といいます)が自宅宛てに送られてきます。当日会場に行けば、お土産が用意されていることもあります。また、多くの株主総会は平日に行われるため、会社員などで時間が取れない場合は、郵送により議決への賛否の投票を行うこともできます。郵送のためのハガキも株主総会の招集通知に同封されています。

通常の株主総会はスムーズに行われますが、業績が悪化した会社や不祥事を起こした会社の株主総会では、株主による厳しい質問が飛び交うというケースがあります。

中々株主総会に行く時間が確保できないという株主も多いですが、株式投資するなら一度くらいは時間に都合をつけて株主総会に参加してみるのもいいかもしれませんね。

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