妊娠中の栄養で気をつけるべきことは?
妊婦にとって体重管理は気になるところ
■カロリー
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準2015」によると、身体活動レベルが普通の場合、妊娠初期(~13週6日)では必要なエネルギーが50カロリー、中期(14週0日~27週6日)では250カロリー、後期(28週0日~)では450カロリー増えます。
よって18~29歳の妊婦さんの場合、一日に必要なエネルギーの量は、妊娠中期で2200カロリー、妊娠後期で2400カロリーになります。30歳以上の場合は、中期で2250カロリー、後期で2450カロリーが推定必要量とされています。身体活動が普通レベルの授乳婦では、18~29歳で1日に2300カロリー、30歳以上は2350カロリーが推定必要量です。
■たんぱく質
妊娠中期で必要な量が1日当たり5~10g、妊娠後期で1日当たり20~25g増加します。よって中期では、たんぱく質が1日に45~60g、後期では60~75g必要となります。
食品に含まれるたんぱく質量については、以前のガイド記事「すぐに分かる!食品のたんぱく質量」をご覧下さい。
■妊娠中の体重管理
「日本人の食事摂取基準2015」によると、日本では妊娠中の体重増加が9キロ以下の場合、赤ちゃんの低体重リスクが有意に上がることが観察されているそうです。正常範囲に近い体重の場合(BMI18~23.9)、1週間当たり、0.2kg~0.3kgが適切な体重増加であると報告されています。妊娠中の合計体重増加が8kg~12kgということになります。少し数字が矛盾している気もしますが、妊娠中の体重増加は9kg~12kg当たりを目指したいと解釈できるかもしれません。
正常体格の妊婦に対して妊娠中の体重増加を 7~10kg に制限する指針が長く示されていた後、2006年に7~12kgへと上がり、これからは9~12kgとさらに上がっていくようです。
推奨される体重増加量は増えているが、日本女性はやせ傾向に
やせを追求すると、自分の子どもにネガティブな影響がでるかもしれない
20代の女性では約21パーセント、30代では約17パーセントが低体重です。国民健康・栄養調査によると、18~29歳で一日のカロリー摂取量平均は1677カロリー、30~49歳では1696カロリーです。低体重の人では、平均値よりもずっと少ないカロリー摂取に関連した栄養不足が心配されます。
胎児期からの栄養環境が大切であるという、「DOHaD(ドーハッド)」がもっと浸透するといいですね。
■参考資料
- 厚生労働省 日本人の食事摂取基準 2015
- 厚生労働省 日本人の食事摂取基準 2015(妊婦・授乳婦)
- 日本DOHaD研究会
- 胎生期から乳幼児期における栄養環境と 成長後の生活習慣病発症のリスク
- 生活習慣病胎児期発症説」とは?
- 国民健康・栄養調査 統計表一覧
- 国立健康・栄養研究所 業務実績概要資料