みなさんカンパニーではどんな存在、キャラクターですか?
菊地>おっとりの天才です。それが良い方にハマればいいんですけど……。ひと度ハマればすごいと思う。でもどちらに転ぶかわからない、その不安定なところが面白かったりする。あんまりきっちりしすぎても人間ってつまらないというか、不安定だからこそ魅力があったりしますよね。
中川>研さんは常に一歩離れてみんなを見てますよね。
菊地>そう? 塚田さんは、兄貴のようなイメージそのままです。
塚田>スペイン公演のときは向かい合わせから裏向きになって、向かい合わせで飛ばして背中向きでキャッチしました(笑)。
中川>しかもスペインは野外公演だったから、一秒くらいの間に床が見えて、空の星が見えて、最後に幕が見えました(笑)。
菊地>久保さんはすごく真面目で、朝のクラスレッスンからちゃんと自分の中でテーマを持ってやっている。毎日のことだから集中力を維持するのって結構難しかったりするし、そういう風にバレエに向かう姿勢って大事ですよね。
中川>茉莉恵さんは繊細で、女性らしい女性っていうイメージ。“あそこはああした方がいんじゃない? こういう風にした方がいいんじゃない?”とか、よくふたりでバレエの話をしています。『眠れる森の美女』のときはかなりいろいろ話しました。そうやって言い合えるひとって、他にはあまりいないかもしれない。
塚田>僕らはこそっとはしないよね。言うときはガチで言い合う(笑)。菊地くんとは年齢でいうと8歳違いだけど、彼はその辺気にせず言ってくるタイプ。日本のトップスターですから、踊りに関しては何の問題もない。ただ僕の方が長くやっているので、パ・ド・ドゥなんかで一緒に踊るときがあると、もっと立ち位置こっち側だとか、手が違うといったことは言いますね。
菊地>確かにガチで言っちゃってたこともありました。ただそういう風に言わせていただけるのは嬉しいし、気を遣いながら舞台が仕上がっていくのはよくないと思うので、喋りやすくしてくださっているのはありがたいところ。このメンバー以外とも、いろいろ教え合ったりしています。やっぱり、きちんと伝えないと上手くいかないこともあるから。先輩も後輩もなく、理想は対等。ただ経験が少ないダンサーには、どうしても長いメンバーが教えなきゃいけない部分もありますけど。
「ワルプルギスの夜」中川郁、塚田渉 撮影:鹿摩隆司