同じ動きなのに名称が違う?

バレエのメソッドによってステップ名が違うことがあるのをご存じでしょうか? ロシアのワガノワメソッド、フランスのパリ・オペラ座メソッド、イギリスのRAD (ロイヤル・アカデミー・オブ・ダンシングの略) メソッド。この3つのメソッドでは、それぞれ違う呼び名で同じステップを表記することがあります。


バットマン…

同じ動きなのに名称が違う?

同じ動きなのに名称が違う?

1. バットマン・タンデュ・ジュテ
2. バットマン・デガジェ
3. バットマン・グリッセ

この3つ、実は同じ動きとされています。
違いがあるのか、それとも違いがないのか。名称の意味から動きについて考えてみましょう。

 

1. バットマン・タンデュ・ジュテ

これはロシアのワガノワメソッドでのステップ名です。動きとしては、つま先・膝・足の甲の全てが伸びた動脚が、床から離れるというものです。
バットマンの意味は「打つ」。動きは「行って帰ってくる」。ジュテの意味は「投げる」。動きは「強く投げ出す」。
バットマン・タンデュ・ジュテは、強く鋭く動脚を投げ出す動き。高さも45度まで上げるというものです。

なんだかとても強いイメージの動きです。ワガノワメソッドは、アレグロを重視するメソッドで、力強い動かし方を沢山します。ワガノワメソッドでバレエを習ってきたダンサーの体の動かし方をみると、その力強い動かし方に圧倒されます。グラン・アレグロなどは圧巻です。


2. バットマン・デガジェ

バットマン・デガジェは、パリ・オペラ座メソッドで使われる名称です。傍から見る動きは、ワガノワメソッドのバットマン・タンデュ・ジュテとほとんど変わりません。
デガジェの意味は「離れる」。デガジェは動きを表す言葉ではなく、ポジションを表す言葉です。ですからどうやって動いたかというのはあまり重要視されていません。動脚が床から離れていることが大事というものです。
高さは床から10cmと指定されています。

動きからは力強さがあまり感じられないかも知れません。優雅さを重視した動きとなりますでしょうか。パリ・オペラ座バレエ団ダンサーの動きも大変優雅です。


3. バットマン・グリッセ

こちらはRADメソッドの呼び方。こちらも傍からみる動きはバットマン・タンデュ・ジュテやバットマン・デガジェと変わりません。
グリッセの意味は「滑る」。グリッセは動きを表す言葉です。床を滑るように動かします。高さは床から3cm。

バットマン・タンデュ・ジュテほど強くないけど、バットマン・デガジェほど弱くもない。中間の動かし方です。


日本では……

日本のスタジオではバットマン・デガジェという呼び方でレッスンが進められていることが多いようです。バレエレッスン用のCDなどを見ても、インデックスにはバットマン・デガジェと表記しているものを多く目にします。
また、バットマン・タンデュ・ジュテという正式名称を略してバットマン・ジュテとする先生も多くいらっしゃいます。

「一体どっちなのよ?」

と思われる方もいらっしゃることでしょう。でもどちらも似た動きなので、あまり神経質になることはありません。先生の指示を守れば問題なしです。

1つだけ注意。バットマン・タンデュ・ジュテ、バットマン・デガジェ、バットマン・グリッセ。いずれの動きも必ずバットマン・タンデュを通るという原則を守ってください。バットマン・タンデュを通らずに空中でのポーズにはいることが往々にしてありますが、これは悪い行い方です。止めることはありませんが、必ずバットマン・タンデュを通過してください。

3つの動かし方の差を感じてレッスンをすると、今までにない発見に出会えるかもしれません。あなたのバレエがさらに上達することを願っています。


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