バレエ/大人のためのバレエ

バレエの舞台知識……大人バレリーナも知っておきたい!

今回は、大人バレリーナも知っておきたいバレエの舞台知識についてお話します。海外の舞台、特にヨーロッパの舞台と日本の舞台には大きな違いがあります。その違いが原因でヨーロッパのダンサーは来日公演で踊りにくいこともあるようです。

執筆者:石島 みどり

バレエの舞台知識! ヨーロッパの舞台と日本の舞台の違い

バレエの舞台知識!

バレエの舞台知識!

1. 正方形? それとも横長?
2. フラット? それとも傾斜?


もっとたくさんのカテゴリーに分かれるとは思いますが、まずはこの2つで考えてみます。
 
<目次>
 

1. 正方形? それとも横長?

通常ヨーロッパでは劇場を「オペラ劇場」と呼びます。もともとバレエはオペラの一部として使われ、その後バレエそのものが発達して現在の形式となりました。そのため、バレエはオペラ劇場で公演活動を行います。

ヨーロッパの舞台の後方は大道具などを置く場所なので、舞台の奥が大変長いです。オペラでは大きな舞台転換を必要とする演目が多く、奥行きのある舞台が必要となりました。そのため、舞台の形はほとんどが正方形です。

劇場の高いところまで客席があるのが、ヨーロッパのスタイルです。そのため、奥行きがある正方形の舞台だと客席から舞台が見えやすいという利点もあります。

さて日本の舞台はどうでしょう。日本では歌舞伎座を代表とする横長の舞台が多いのが特徴です (最近建設された舞台はヨーロッパスタイルが多いようです)。大道具は舞台奥に置くのではなく、どちらかの袖 (舞台の脇) に置き場があります。

バレエはヨーロッパで生まれた芸術ですから、やはり奥行きのある正方形の舞台で踊った方が踊りやすいと思います。ヴァリエーションの最後を飾る斜めのターンなどは、後から前に迫ってくる感じの方が迫力を感じます。また、円を描いて進んでいく回転技も正方形の方がダンサーにとってやりやすいですね。

◎ここでワンポイント雑学!
ヨーロッパのバレエ学校も正方形か、奥行きのある形が多いです。そもそも大きいスタジオを持っているというのもありますが、日本のように縦長で使うスタジオは少ないようです。
 

2. フラット? それとも傾斜?

海外の舞台と日本では舞台に大きな違いがあります。

海外の舞台と日本では舞台に大きな違いがあります。

ローザンヌ国際バレエコンクールに出場した日本人の若いダンサーは一様に「踊りにくかった」と感じるようです。それは日本では見ない舞台の傾斜が原因のようです。

ヨーロッパでは遠近法を駆使するために舞台を傾斜させるという技術を用いました。後方が高く、前方が低くなっています。舞台をより広く見せるための技術です。

ヨーロッパのバレエ学校では、傾斜床を採用しているところもあります。傾斜に順応するためです。傾斜床とフラット床では使う筋肉が違うので、当然と言えば当然の対応とも言えます。

最近では日本でもヨーロッパスタイルの舞台が増えていますが、この傾斜床は採用されていません。

日本で国立のバレエ学校、国立のオペラハウスが建ちましたら、傾斜床も導入されるかも知れません。

◎ここでワンポイント雑学!
ロシアで活躍しているダンサーに直接聞いたことがあります。「日本の舞台は傾斜していないから踊りにくいでしょう?」。帰ってきた言葉は予想通り「そうなんだ。ジャンプの着地で後にのけぞりそうになるんだ」。傾斜している床で踊るためには背筋を相当使います。その背筋の感覚のままジャンプをすると、背筋に引っ張られて後にのけぞるんですね。

ヨーロッパのダンサーが日本で踊るときは、やはり踊りにくさを感じているようです。ローザンヌ国際バレエコンクールで日本人の若いダンサーが感じている踊りにくさと同じですね。ダンサーの本来の姿を見るためにはやはり彼らのホームグラウンドで観るのが一番です。一度海外のバレエ公演を観に、お出かけになってはいかがでしょうか?

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