790億円もの業績悪化(赤字)予想で株価が大暴落 レオパレス21
続いては誰もがご存じ、単身者向けアパートの建設や管理を主軸とするレオパレス21の動きを見ていくことにしましょう。下グラフにあるように連休明けの5月10日、株価は大きく値下がりしました。同日、同社から「2010年3月期の連結最終損益が790億円の赤字になった」との発表があり、この発表が投資家の売りを誘ってしまいました。前期(2009年3月期)は99億円の黒字だっただけに、まさに天国から地獄へと突き落とされたような業績悪化ぶりです。最終赤字幅は1973年の創業以来で最大とのことです。
気になる赤字化の理由ですが、日本経済新聞(5月8日)によると、「法人需要の低迷でアパート入居率は期中平均で82%強と、前の期から約6ポイントも低下。家賃保証分を補えず、営業損益は297億円の赤字(前期は501億円の黒字)と、従来予想から赤字が14億円膨らんだ」と説明しています。その結果、「本社建設を計画していた不動産開発を中止するほか、店舗も閉鎖。また、負担となっている地主への家賃保証料も、保証契約期間の終了時に相場実勢にあうように引き下げる」(日経)こととなりました。
5月7日には新たな3カ年経営計画「中期経営計画」を策定。「選択と集中による事業戦略の抜本的な見直しを実行し、安定した経営基盤の強化を最優先課題と捉え、アパート建築請負事業と賃貸事業のコア事業を主軸に事業構造の再構築を実行いたします」とうたっています。
折りしも、賃貸市場では契約更新時に支払う「更新料」をめぐって、「有効」か「無効」かの訴訟が最高裁判所へと持ち込まれている最中です。更新料の返還請求が広がりを見せると、家主にとっては死活問題にもなりかねません。賃貸借市場は、今、こうした“火種”を抱えています。それだけに、企業にはより「選択」と「集中」が求められてくることになります。