グルテンフリーで得られる効果
パスタやパンにもグルテンは多く含まれる
合戸さんによると、アメリカでのグルテンフリー生活では、体重が減ったという方が多かったようです。それは、アメリカ人が肥満傾向にあることと、パンが主食だということが大きい理由のようです。それ以外にも元気が出た、疲労感が減り、お腹が張った感じやげっぷも止まった、など様々な効果が報告されているとか。
「肌に関して明確なデータはありませんが、腸がきれいになることで、免疫力が上がり、老化も遅らせることができるので、しわやたるみに関しても効果があるのではないかと思います」と合戸さん。
人それぞれにはなりますが、なにかしらの効果が期待できるのは間違いないよう。でも、ここで考えたいのが、グルテンフリーという食事療法そのものではなくて、そういう状態に陥ってしまった現代の食生活に目をむけなければいけないのではないだろうか、という点です。
腸は免疫力に深くつながっていると言われている非常に重要な臓器です。昔と違う食生活、小麦粉や砂糖の大量摂取、日本人の体質に合わない乳製品や加工品などを取り入れた食生活をすることで、腸の中の本来の機能を果たさなくなっている事実があることをまず直視する必要があります。と、なるとグルテンだけを敵にするのではなくて、白砂糖はもちろん、添加物や増えている糖質過剰など、食生活全体の見直しをすることが不可欠なのではないでしょうか。
グルテンだけでなく、食生活全体の見直しを!
ちなみに、グルテンに反応するかどうかを決めるクリアな検査はまだ確定されていないそうです。「遅延型」、といって鯖やそばを食べてすぐにばっと出るような、早いタイプのアレルギーではないので、食べ物との関係を特定しにくいからなんです」(合戸さん)。
日本は消費する小麦のほとんどを輸入でまかなっていて、輸入小麦の大半がアメリカです。となると心配なのは遺伝子組み換えの可能性が高いということ。
「アレルギー症状、例えば花粉症の人は小麦粉に入っているいろんな成分が免疫を狂わせることがわかっているので、グルテンは、もちろんですが、小麦の中の他のものも悪さをするんです」(合戸さん)。
グルテンは確かに悪影響があるものですが、小麦粉に含まれるその他の素材にも多く反応が起きているため、アメリカではグルテンだけをつり上げるのはおかしいのではないか、という議論がされているそうです。もうグルテン、ということではなくて対小麦という図式が成り立って行くのかもしれません。
これだけ小麦粉フードがちまたに溢れている今、なかなかそこから抜けることは難しいかもしれません。方法の一つとしては、グルテンを使わずに美味しく楽しく食べられる方法を知ること。
アメリカではお料理上手なママたちなどが「パレオダイエット」を実践しているそうです。これは、旧石器時代の食事法を真似たダイエット方法で、なるべく素材を変えずに摂ることが基本。グルテンと砂糖を完全にカットするスイーツを食するという、楽しみながらダイエットする方法です。
「パンやお菓子を作るのだったら、アーモンドフラワーやココナッツフラワーを使って、グルテンフリーのパンやお菓子を焼くことができます。ココナッツフラワーは小麦粉の代わりに使われていて、血糖の上昇も少なく、アメリカではサンドイッチパンを焼いて食べる人が多いです」(合戸さん)。
次ページでは「グルテンフリー生活の注意点」について、紹介します。