リード・ザ・セルフから、次にピープル、そしてソサエティーへ

本では、自分の夢が他者の夢になる共振関係を通して、一緒に旅をする仲間が出現すると示唆しています。こうした「フォロワー」ができることで、「ひとり旅」をしていた者が、結果として「リーダー」となるのです。これを著者は、「リード・ザ・セルフ」から「リード・ザ・ピープル」への移行と呼んでいます。この移行は、「リーダーシップの旅」の最も重要な転換点のひとつになるのだと思います。

セルフからピープル、そしてソサエティーとリードする対象は変化していく

セルフからピープル、そしてソサエティーとリードする対象は変化していく

「リード・ザ・ピープル」への転換点でリーダーが発揮する力を「構想力」「実現力」「意志力」「基軸力」の4つで説明しています。しかし、そうした力を簡単に習得することはできません。なぜなら、リーダーシップは経験を通して身につけるものだからです。これは、「リーダーだけがリーダーを育てられる」という観点と一対となっています。経験によって到達した境地の伝承は一筋縄ではいきません。

ここでのリーダーシップ論は、「リード・ザ・ピープル」を経て、最後に「リード・ザ・ソサエティ」の段階を迎えます。それは、リーダーの内面において「利己」と「利他」の境界が消えたときに到達する段階であることが暗示されます。

健全な社会性を持ったリーダーだけが、真の意味で「リード・ザ・ソサエティ」を許されます。そのとき、フォロワーたちもまた、それぞれの「ひとり旅」に歩み出すのです。誰しもが「リード・ザ・セルフ」をできる社会を創れたとき、「リーダー」と「フォロワー」の境界も消え、現代社会を覆う「孤独」の内実も変容するでしょう。「リーダーシップの旅」の本質は、社会への「恩返し」にあるのかもしれません。

「リーダーシップは1人称の長い旅」という気付きを与えることでしょう。リーダーシップの本質が分かっていなかったことに気付かせてくれます。会社という上下関係のもとで人がついてくるのであれば疑似のリーダーですが、組織がなくても「この人についていきたい」と思わせられるようなリーダーになろうと、考えを改めさせる貴重な本だと思います。

「命令と服従」をベースとしたリーダーではなく、「納得と同調」をベースとしたリーダーが今後は持てはやされることでしょう。

取り上げた文献:
「リーダーシップの旅 見えないものを見る」  





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