マーケティング/マーケティング事例

吉野家とマック、ヒット商品のリバイバルに潜む罠とは(2ページ目)

吉野家とマクドナルドが10月29日、ともにかつて爆発的にヒットした商品を復活させた。この復活にはどのような背景があるのか?また、ヒット商品のリバイバルに潜む落とし穴とは?

安部 徹也

執筆者:安部 徹也

マーケティング戦略を学ぶガイド

かつてのヒット商品のリバイバルのメリットとデメリットとは?

リバイバル・マーケティング

かつてのヒット商品のリバイバルは、短期的には売上増に寄与するが、長期的にはマーケティング力の減退につながる

両社が復活させるかつてのヒット商品は企業側にとってはある程度の売上が見込めるというメリットがある。以前、購入してファンになった多くの顧客が再発売と同時に購入することは想像に堅くないからだ。実際に多くの企業がかつての商品を復刻させるのはこの理由による。やはり、マーケティングの難しさとして、いくら新製品を開発しても顧客に受け入れられるかどうかは未知数ということを考えれば、ヒット商品を復活させる方がリスクを避けて売上につなげていくことができるのだ。

一方で、かつてのヒット商品のリバイバルは、企業側にとってメリットばかりではなく、そこには落とし穴も待ちかまえている。

それが長期的なマーケティング力の減退だ。

安易にかつてのヒット商品に頼れば、顧客のトレンドを見極めたり、最先端の製品を開発するために技術を磨いたり、競争を勝ち抜くうえで重要なマーケティング力の向上が損なわれることにつながるのだ。マーケティングで成果を上げ続けるためには、常に消費者の変化に敏感になり、期待を超え続けられるような製品やサービスを追求していく必要がある。そこで、楽をして売上を上げる誘惑に駆られてしまえば、短期的には数字の底上げはできるかもしれないが、企業の長期的な成長にとっては、重要な役割を果たすマーケティング力が磨かれずに、衰退していく原因とも成り得るのだ。

実際に最近業績が好調なスターバックスなどは、毎年期間限定で発売するフラペチーノでヒット商品が生まれても再発売は考えずに、常に顧客を驚かすような新製品の開発を追求していくという姿勢を貫いている。これが企業としての本来のあるべき姿ともいえるだろう。

今回、吉野家、マクドナルドとも、かつてのヒット商品の復活で、ある程度の売上アップを見込めるだろう。ただ両社とも業界を代表する企業だけに、今回のヒット商品の復活を橋頭堡にして、次なるヒット商品を生み出すことを期待したい。
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