宅配ビジネスの未来
宅配ビジネスがますます成長することは確実だ。冒頭で述べたように、高齢化社会の進展、インターネットの普及に加えて、もう一つ大きな流れが生まれつつある。それは個人間取引の拡大だ。スマホを使ったフリーマーケット事業を展開している「メルカリ」。スマホで撮影した商品をそのままウェブにアップし販売できることがウケている。個人は気軽に、売る側にも、買う側にもなることができるのだ。またアマゾンにはFBAというシステムがある。これは個人が販売したい商品をアマゾンの倉庫に一括納入するというシステムだ。つまり、商品が売れると、アマゾンの倉庫から購入者へ発送される仕組みだ。今まで面倒だから販売業をやらなかった潜在層が、このシステムを使うことで販売業をはじめる可能性も増えるだろう。
個人の趣味嗜好が多様化することもあり、個人間取引はますます加速していく。それは宅配ビジネスをさらに発展させることにつながるのだ。
宅配ビジネスを支えるロジスティクスの重要性
今後、ロジスティクスが宅配ビジネスを含む販売業における重要な役回りを担っていくことになる。顧客側とすれば、一日に何度も別の業者からモノが届けられるよりも、同じ業者から一度に届けられる方が利便性は高い。その意味で、宅配業者のブランディングは重要だ。高齢者社会がさらに進展し、一人暮らしの高齢者が増えれば、見守りサービスという視点も出てくる。マンガ「サザエさん」に出てくる三河屋さんのように、何もなくても訪問してお伺いするというサービスが、あらためて重宝される時代が来るかもしれない。誰よりもロジスティクスの人が顧客のニーズを知っているということもありうるのだ。これから先、宅配業と密接に関わる企業は、多かれ少なかれロジスティクスとの提携を強めていくことは確実だ。