フランス人は猫舌なの? 日本の食べごろ温度と熱々温度
冷たいものは、ほどよくすっきりいただきたい
もちろん、食事環境や食習慣、あるいは嗜好や健康状況などからおいしいと感じる温度に個人差があり、「熱いのは苦手」「冷たいのは苦手」とおっしゃる方もいらっしゃるでしょう。
とは言え、「アツアツの何々」「キーンと冷えた何々」と、食べ物や飲み物の熱さや冷たさといった温度を説明する表現があるように、熱いものは「冷めないうちに」、冷たいものは「冷たいうちに」と、一番おいしいときに一番おいしい状態でいただきたい「食べごろ」温度のこだわりもおいしさの大事なポイントになっているのではないでしょうか。
また、日本人は鍋料理、麺類、汁物など、食べにくくても熱いものを好む傾向があるかと思います。熱いお椀を手にとっていただく鍋料理や汁物は冬の料理の醍醐味です。麺類をいただくのも、熱々のところを勢いよく適度に音をたてながらすするからこそおいしく感じるものであり、これを熱さを避けながら、おつゆが跳ねないように、音がしないようにそうっとゆっくり食べていてはおいしさが半減してしまいますし、傍目で見ていてもおいしそうには見えません。やはり熱々の麺類は、熱々を軽やかにすすっていただきたいものです。
フランス人は熱々が苦手?
寒い日には熱々がうれしいカフェ・オ・レ
フランス人と鍋料理や麺類をいただくときも、みなさん熱さが去るのを待っている光景を目にします。
余談ですが、フランスには麺類をいただくときに音をたてる習慣はありません。人によっては麺をすする音を大変嫌いますので、場合によっては気をつけてください。日本とは違い、パスタやスープをいただくときも同様で、音をたてずにいただきます。熱いからといって、冷ますために「ふーふー」と息を吹きかけるのも考え物で、スプーンやフォークでゆっくり静かにかき回したり、少し待ってからいただくというほうがいいようです。
お皿に気をつけて!
フランスでいただく料理の中で熱々が皆無というわけではありません。レストランでもステーキなど熱い鉄板に盛り付けられてでてくる料理は、日本人好みの熱々ですし、温めたお皿に盛り付けて出てくる料理やオーブンから出てきたばかりの料理も熱々です。グラタンはやはり熱々がおいしい
Attention, c'est très chaud !
(アトンシオン セ トれ ショー)
気をつけてください、とても熱いですよ !
L'assiette est chaude !
(ラシエット エ ショードゥ)
お皿が熱いですよ!
料理が生ぬるい?
その一方で、あえて「生ぬるい」という説明がレストランのメニューに書かれていることもあります。
フランス人は、肉のうま味をじっくり味わいたい
「生ぬるい」という言葉からは、あまりポジティブな印象を受けないかもしれませんが、この「生ぬるい」には食べ物の味をより味わうことのできる温度という配慮があるそうです。
特に、肉などはうま味をより味わうために、調理法も香りを保ち、素材の成分を変化させないように気をつけて、口に入れやすい温度、口当たりの良い温度にすることがあるそうです。
味わうときの素材の本質に重きを置いているということになるのでしょうか。
このあたりが日仏の食文化の違いなのかもしれません。
ほかにも、デザートのソースなどでも tiède と書かれていることがあります。
フランス流の「食べごろ」温度のこだわりですから、是非試してみてください。
※発音表記は、区別をするために、R の音はひらがなで、L の音はカタカナで表示しています。
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