2009年11月20日に「デフレ宣言」が出されてから5カ月余り。100年に一度とされた金融危機はその影が薄れ、ようやく景気の持ち直し傾向が続くことが期待されるようになり、自立回復に向けたいくつかの萌芽が見られるようになりました。しかし一方、欧州を中心とした海外景気の下振れ懸念やデフレの影響など、依然として、わが国の景気を下押しするリスクは払拭(ふっしょく)されていません。3月18日に国土交通省から公表された2010年の公示地価は2年連続の下落となり、まさに地価“総崩れ”となりました。驚いたことに、各圏・各用途で前回よりも下落率は大きくなっており、改めて「資産デフレ」を意識せざるを得ない不動産環境にあることを思い知らされます。
そのため、現在、理想のマンションを探している人は、より「自己責任」「自助努力」による物件選択が求められるようになります。というのも在庫処分に一定のメドを付け、用地取得の再開(新規開発)に販売戦略をシフトさせたデベロッパーがいる一方、いまだに後遺症を引きずっている企業もあるからです。住宅税制や住宅エコポイント制度など、購入を促すインセンティブは充実しているものの、“玉石混交”なマンション市場の中、感覚に頼った自己流のマイホーム探しは通用しにくくなっています。
では、どうすればいいのか? ―― 答えは簡単、資産価値を意識してマンションを探せば問題は解決します。住宅雑誌では「売りやすい」「貸しやすい」ことが資産価値と説明されていますが、それはあくまで表面的(一義的)な話に過ぎません。「売りやすい」「貸しやすい」マンションとはどういうマンションなのか、そこまで踏み込んだ選択行動が夢のマイホームへの近道を切り開きます。私、ガイドは資産価値を形成する条件には8つのポイントがあると考えています。この必須条件に当てはめていけば、おのずと資産価値の落ちないマンションに到達することができます。はたして、8つのポイントとは何なのか、以下、1つずつ見ていくことにしましょう。
ロケーション・バリューこそが、資産価値を形成する最大条件
突然ですが、読者の皆さんは「収益還元法」という言葉をご存じでしょうか。収益還元法とは、3種類ある不動産鑑定手法の1つで、簡単にいえば、土地と建物を一体とみなし、そこから生み出される収益(利回り)に応じて不動産価値を評価する鑑定方法のことです。
これまでは、主として周辺の取引価格や再調達価格を参考に地価は鑑定評価されてきました(下図参照)。それが収益還元法の定着により、不動産の価格形成メカニズムが収益価値の重視へと変わっていきました。資産価値の落ちないマンションを探す際には、たとえ実需目的(マイホーム)であっても、投資的な視点(=収益性)を加えることの必要性が重要視されるようになっています。換言すれば、「マーケットニーズに合致したマンション」=「誰もが欲しがるマンション」を買っておけば失敗する確率は低減することができます。
それでは、「マーケットニーズに合致したマンション」とはどういうマンションなのでしょうか? ここでキーワードとなるのが「ロケーション・バリュー」です。ロケーション・バリューとは、直訳すれば「そのエリアにしかない特有の価値」となります。エリア特性を加味した“立地の優位性”と言い換えてもいいでしょう。もっと噛み砕いていえば、1に「立地」、2に「立地」。3、4がなくて、5に「立地」というわけです。マンションの商品企画性や価格設定といった要素以上に、そのマンションが建っている場所(立地)こそが重要となってくるのです。つまり、
『同じ予算なら、郊外の広いマンションより、狭くてもいいので都心のコンパクトマンションを選ぼう』
というのが、私ガイドの考える資産価値のあるマンションとしての必要かつ十分条件です。土地の高度利用という観点で地価を比較した場合、「郊外」と「都心」でどちらが高い収益性を有しているか。―― この返答に迷う人はいないはずです。収益還元法によって価値評価されるようになったわが国の不動産環境において、ロケーションが住宅価値を決定付けるようになっています。誤解を恐れず申し上げれば、いくら広くて安くても、郊外のバス便マンションなどには絶対に手を出してはいけないということです。誰もが欲しがるマンションであるためには、収益価値を内包したマンションでなければならないのです。
3種類の不動産鑑定手法
さらに議論を深め、「誰もが欲しがるマンション」であるためにはどのような条件が必要なのか、次ページで8つの必須条件をご紹介します。