マーケティング/マーケティング事例

コンビニコーヒー戦争から学ぶポジションに応じた戦略(4ページ目)

コンビニ業界で“コーヒー戦争”が過熱しています。最大手のセブン-イレブンが「セブンカフェ」で切り拓いたカウンターコーヒーの市場がライバル企業の参入で拡大。今後は益々成長の兆しを見せています。今回はこのコンビニコーヒー戦争にフォーカスを当て、コトラー教授のポジションに応じた戦略で検証していきます。

安部 徹也

執筆者:安部 徹也

マーケティング戦略を学ぶガイド

ファミリーマートの戦略


ファミマカフェ

ファミリーマートはチャレンジャーか?フォロワーか?

コンビニ業界3位のポジションを占めるのがファミリーマート。3番手に位置する企業といえども、携帯電話業界でいえばソフトバンクのようにアグレッシブにトップを狙う企業であればチャレンジャーといえます。一方でトップを果敢に目指さずに上位企業に追従して現状のポジションを維持してリスクを冒さずに収益の最大化を目指すのであれば、その企業は“フォロワー”ということになります。

コトラー教授によれば、フォロワーの基本戦略は“上位企業に倣う”とされています。チャレンジャーのようにリーダーと違うことをして、上位企業を刺激するのではなく、上位企業に追従することによって争いを避け、収益機会を最大化させていくことがフォロワーとしてベストの選択になるのです。

それでは、ファミリーマートはコンビニ業界においてチャレンジャーなのでしょうか?それともフォロワーなのでしょうか?コンビニコーヒー戦争における戦略から、ファミリーマートのポジションを読み解いていくことにしましょう。

ファミリーマートが展開する「ファミマカフェ」では、この4月21日からこれまで120円だったブレンドコーヒーのSサイズを税込100円へと値下げしました。これまでリーダーのセブンイレブンに比べれば割高だったコーヒーの価格を、同じ価格まで値下げすることによって、消費税の増税で遠のきかねない客足を増やし業績アップにつなげていこうという狙いがあるのです。ファミリーマートでは今回のコーヒー価格の値下げによって、これまで1日一店舗当たり60杯だった販売数を80杯まで高めることを見込んでいます。

このようなファミリーマートの施策を見る限りは、上位企業を刺激せずに現状のポジションを維持して収益機会を拡大していこうというフォロワーの特徴が浮き彫りになってきます。つまり、ファミリーマートはコンビニ業界において、フォロワーというポジションで事業を展開しているといっても過言ではないでしょう。


事業を展開するにあたって、自社のポジションを確認し、ポジションに応じた戦略を遂行していくことは、自社が目標とする成果を上げるために重要な鍵を握ります。マーケティング戦略を立てる際には、今回コンビニ業界の“コーヒー戦争”で見てきたような自社の立ち位置を明確にしたうえで適切な戦略を立てることを心掛けていくとよいでしょう。
【編集部おすすめの購入サイト】
楽天市場でマーケティング関連の書籍を見るAmazon でマーケティング関連の書籍を見る
  • 前のページへ
  • 1
  • 2
  • 3
  • 4
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について

    カテゴリー一覧

    All Aboutサービス・メディア

    All About公式SNS
    日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
    公式SNS一覧
    © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます