マーケティング/マーケティング事例

西友が開始した異例の全額返金保証は成功するのか?(2ページ目)

4月1日、西友はスーパーでは異例ともいえる生鮮食料品の全額返金保証を開始しました。標準店舗で2000品目に及ぶ生鮮食料品を顧客が満足しなければ無条件で全額返金する大胆な制度をスタートさせたのです。果たして、西友の真意はどこにあるのか?異例の挑戦は成功するのか?マーケティング的な視点から分析していきます。

安部 徹也

執筆者:安部 徹也

マーケティング戦略を学ぶガイド

 企業が全額返金保証を導入する目的とは?

全額返金保証

全額返金保証はインターネットショッピングなど実際に商品を手に取れない場合に顧客の心理的な不安を解消するために活用される

ビジネスにおいて、“全額返金保証”というマーケティング戦術は目新しいものではありません。すでに多くの企業で採用され実際に大きな効果を発揮しています。ただ、スーパーで全額返金保証を導入することは珍しいといっても過言ではないでしょう。

なぜなら、全額返金保証は通常顧客の購入に対する心理的な不安を取り除くことを主目的にしているからです。

たとえば、インターネットショッピングで実際に手に取ったり、見たりできない商品、または高額な商品は顧客にとって購入に対するリスクが大きく、決断に踏み切れない場合があります。そんな時に、全額返金保証を提供すれば、顧客のリスクを限りなくゼロにして心理的な障害を取り除き、スムーズに購入までつなげられるというわけです。

ところが、西友の場合は、顧客があまり心理的な障害を感じない低価格の生鮮食料品に全額返金保証を提供しようというのです。

もちろん、これまでこのような低価格の食品に全額返金保証を提供した事例がないわけではありません。

たとえば、ロッテリアは2009年に「絶妙ハンバーガー」を発売した際に、おいしくなければ全額返金を保証するキャンペーンを展開しました。ただ、ロッテリアの場合、期間限定であり、しかも「半分以上食べてはだめ」「アンケートに答える」「一人1回限定」など数々の制限も付いていました。つまり、ロッテリアの目的とすれば、ハンバーガー業界としては奇抜なキャンペーンを展開して、メディアに取り上げてもらうパブリシティ戦略的な要素が強い施策だったのです。

一方で西友の場合は、今のところ無条件かつ無期限で実施する予定であることから、パブリシティ戦略というよりは、顧客満足度向上によって毎日顧客に来店してもらい、最終的に売上アップにつなげることを主目的にしているといえるでしょう。

果たして、西友の全額返金保証は成功するのでしょうか?西友の過去の苦い経験を振り返りながら検証していきます。次ページへお進み下さい!
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