「あなた」は相手を主人公にする
「あなた」の使い方についてヒントを得た体験があります。グローバル化に伴い、当社でも英語によるコーチングやそのトレーニングを開始していますが、その中でとても興味深いのが「あなた」の使い方でした。たとえば、次のような言い回しです。
その他大勢ではなく、主人公として
"Is that what YOU want to do?"
「『あなたは』私にどのように関わってほしいですか?」
”How would YOU like me to support you?"
「どうすればいいと思いますか?」といった日本語の曖昧さに対して、英語の場合は、「『あなたは』…?」といった言葉遣いで、コミットを求める傾向が多く、同時に、相手を主人公にします。
すると必然的に相手には「主体的に取り組む」「自責で物事を捉える」という意識が芽生えやすくなります。
改めて「あなたは」と問われることで、知らず知らずのうちに取り入れていた誰かの意見ではなく、自分はどうしたいのかを意識するようにもなります。
このことに気づいたのち、周りのコミュニケーションをよく観察していると、やはり「あなた」を意識させる話し方をしているリーダーたちは、メンバーを活かし、成果を上げているように思います。
「あなたはどうしたいのですか?」
「あなたはどう考えますか?」
こうした「あなた」フレーズを日常的に用いることで、相手は目の前で起こっていることを自分のこととして捉えます。つまり、「主人公」になるのです。
結果として、受け身ではなく、しかけていくのは自分だという「自己効力感」を高めることもできます。
また、このアプローチは、相手が愚痴ばかり言っているとき、物事や状況を他人事に捉えているときにも有効でしょう。
ここでもノンバーバルに注意!
しかし、伝え方によっては、相手が「責められている」、「突き放された」と感じることもあります。ここでも大切なのは、やはりノンバーバル。言葉遣いだけでなく、伝える時の声のトーンや表情がとても重要なのです。そして、そのノンバーバルを創り出すのは、相手に対するあなたの気持ち、スタンスです。
ぜひ、相手を主人公にするという気持ち、相手の可能性と行動力を信じるスタンスで「あなた」フレーズを語りかけてみてください。