種類もデザインも豊富な照明器具
もし注文住宅で家を建てるなら、照明器具ひとつとっても計画の段階から時間をかけて、空間やインテリアに映えるものを、建築士と相談しながら念入りに選ぶことができると思う。もし中古住宅や分譲住宅を選んだ場合、天井には照明器具をつける専用のコンセント(「引掛けシーリング」という)だけがついていて「照明器具は別途用意」というケースもあるだろう。そんな場合は、そこに合う照明器具を、自分で選ばなければならない。
照明器具を後から選ぶ
私が中古住宅を購入した時、照明器具に関しては「一部はあるが全部はない」状態で引き渡された。ちなみにカーテンもそうだった。前の住人がいくつかの照明器具とカーテンを、次の住まいに持っていったようだ。この「一部はあるが全部はない」状態は、実はけっこう難しい。例えば20畳ほどの広さのあるリビングダイニングの天井には、引掛けシーリングが3箇所あり、一か所だけ無難な乳白色のシーリングライトがついていた。この、真ん中に残されたシーリングライトはまだ使えそうだし、使えそうなものは使いたいところだけれど、さてここからどうしたものか。
シーリングライトとペンダントライト
天井に直付けする「シーリングライト」。こちらは乳白色のカバーで電球を覆い、調光機能がついたタイプ。
家に残されていたものは、乳白色のカバーがついた、何の飾りもないシンプルなシーリングライトで、明るさや光色を調節できる調光機能もついていないものだった。リビング・ダイニングの照明器具としては、少々物足りないと考えて、それを2階の個室の照明として転用し、リビング・ダイニング用の照明を3基購入することにした。
一部屋に複数の照明器具をつけるとき
ミラノのデザイナーによるペンダントライト。照明の色もいろいろ変えられる。
そうして部屋の中央に選んだ照明器具はイタリア・ミラノのデザイナーの超個性的なランプ。薄いアルミ板を幾層も並べて構成した、まるで昆虫を想像させる軽快なデザインのもの。アルミの間に挟むカラーシートを交換すれば、様々な色を楽しめる。
デザイン性を重視した結果・・・
ところがあるとき、この照明器具で子どもがケガをするというアクシデントが発生。子どもが何気に振り回した手がこのペンダントライトにあたり、スパッと切れてしまった。天井から吊り下がるタイプのため、背の低い子どもでも手が当たってしまったのだ。安全であるべき家で、大いに反省
子どもの手のケガは、不幸中の幸いでそれほど深いものではなかったけれど、痛々しかった。安全であるべき住まいの中で、子どもに痛い思いをさせてしまったことを深く、ふかーく、反省。これを機にこの照明器具を撤去して、結局、天井に直付けするシーリングライトに変更した。ごくごく一般的な乳白色のカバーがついたタイプ。かくして、リビングダイニングの天井には、似たようなシーリングライトが3つ並ぶというシンプルな光景となった。けして豪華じゃないけど、これがその時の自分たちに合っている照明器具なのだ。子どもが手を振り回しても当たらないし、電球が露出していないので、地震時の危険性も少なくなった。
省エネ性、地震時の安全性、
家庭内事故の起きないものを
当時はまだLED照明もそれほど一般的ではなく、照明器具選びはデザイン性や調光機能などに目がいきがちだった。時は流れ、今は省エネ性や地震時の安全性なども重視される時代になった。自分の失敗談を踏まえ、もし子育て世代でこれから照明器具選びをするという人がいたら、子どもが何かしてもケガをしないかという視点も加味して、家庭内事故の起きにくい照明器具選びをしてほしいと願っている。
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