港区の閑静な一画に佇むツインタワー
「三田綱町パークマンション」
五反田を抜け、都心へ直進する国道1号は白金高輪の交差点で右方向へそれていく。やがて慶應義塾大学を回り込むように道は大きくクランクするのだが、左折車線が広く整備される前はスムーズにいかず、慢性的な渋滞箇所のひとつになっていた。このとき(信号のつなぎが良ければという条件が付くが)抜け道の役割を果たしていたのが綱坂である。進行方向右手にイタリア大使館、左手に三井グループ迎賓館「綱町三井倶楽部」がある。
この坂下の西方にある純白のツインタワーが、*超高層マンションの先駆けともいえる「三田綱町パークマンション」(地上52m19階建て 1971年築)である。一方通行で道行く車両が限られているせいだろうか、慶應三田キャンパスの周辺から受けるイメージとは異なりとても閑静な一画だ。注釈:*超高層建築物の明確な基準はないが、一般的に地上60m以上を指すことが多い。また情報媒体などではタワーマンションは20階以上を目安にすることがあるようだ。
空に住む
「東京タワー、霞が関ビルに次ぐ、日本における第3の高層建築物として誕生。“空に住まう”という視点は、当時大きな話題に。「眺望を売る」という発想もまさに画期的でした。その後の超高層住宅による新たな環境創造の可能性を示した物件です。」(三井不動産公式サイト<沿革>より)「眺めの良い暮らし」の実感や体験が存在しえないなかで、その価値を説くのは困難な作業だったに違いない。物件パンフレットの冒頭には<無限の可能性を秘める空―三井はよりゆたかに住むことを考えました>とある。現在のプロジェクトに採用しても何ら違和感のないキャッチコピー。タワーの魅力はまさにそこにあるといって良い。
顧客の漠然とした不安が分譲活動上ネックになったであろうことは、当時の社長江戸英雄氏が自らパンフレットで安全性を訴えていることからも容易に想像できる(右上画像参照)。以下、記載のメッセージをそのまま記す。こちらもいまもって通用する普遍的なものである。
住まいは何よりもまず人間性豊かな生活空間でなければなりません。それには、住まいの機能性を充分に備えるとともに、10年後、20年後の都市生活にもふさわしい確固たる先見性が必要であります。
このため、当社は、かねてより住まいの超高層化の研究を重ね、ここに、いよいよ≪三田綱町パークマンション≫が実現の運びとなったのであります。
超高層ビルの場合と同様、超高層マンションにおいてまずご心配になられるのは「安全性」の問題でありましょう。しかし、この点においてはすでに≪霞が関ビル≫で実証済みであり、その実績に基づき万全を期しております。
技術陣も≪霞が関ビル≫のスタッフを再度起用いたしました。安心してお求めいただける新しい住まいとして、自信をもっておすすめいたします。