北京の物価は日々進化している
日々、大きく変化している首都・北京。物価の上昇もかなり顕著
90年代までは、「日本よりずっと安い!」の一言ですんだのですが、最近は、「高いモノもあるし、安いモノもある」とちょっと複雑に。ここでは、そんな近々の北京の物価について、色々なカテゴリーから切り込んでいきたいと思います。北京へ旅立つ前に一読して、旅の予算組みの参考にしてみてください。
GDP世界第2位に躍り出た中国 イケイケの北京経済
まるでバブル期の日本!ブランド大好きな中国人
庶民の生活を支える青空市場
そうは言っても、すべての人々が高級車に乗って、ブランドを身に纏っているわけではありません。大多数の北京人は自転車で青空市場に行って安い食材を捜し求める生活を送っているのです。いわゆる「二極化」。今、社会問題にもなりつつある二極化について、次の章でお話しましょう。
高所得者と低所得者の二極化が顕著な北京
路地を一歩入れば懐かしい風景が
高級車が飛ぶように売れている
上下の開きが顕著な北京
とにかく、北京の物価が年々上昇しているのは変えがたい事実。1978年にスタートした改革開放以来、約30年で北京の世帯収入は約70倍という驚異的な伸び率! 実際、北京の物価が東京並みになりつつあることを肌で感じるこの頃です。
※所得格差の程度を示すジニ係数から見る中国所得格差の実態については、「中国の物価」で紹介しています。
中国のニュースサイトによる物価調査
近年の首都北京の物価高騰を、かつての主席はいかに見ているのか……
英誌「エコノミスト」の調査部門エコノミスト・インテリジェンス・ユニット(EIU)の「世界で最も生活費の高い都市」の2017年度の調査結果をみると、世界で一番生活費が高いのはシンガポール、東京は4位、北京は47位となっています。ちなみに香港2位、大阪5位、ソウル同じく5位、上海69位、ニューヨーク9位です。
中国の物価急上昇が騒がれる中、中国のニュースサイト・環球網が2012年2月20日~3月20日、世界の主要20都市(※)でカテゴリー別に物価調査を実施しました。その結果から東京と北京の物価を抜粋して比較していきます。
※北京、香港、ニューヨーク、東京、ソウル、ニューデリー、シンガポール、ベルリン、パリ、ロンドン、シドニー、台北、ヨハネスブルグ、ミラノ、バンコク、バンクーバー、チューリッヒ、モスクワ、ブラジリア、アルマトイ
北京と東京の「食品」に関する物価比較
安全問題はあるものの、市場の野菜は安くて新鮮!
- リンゴ500グラム当り東京45.47元、北京6.9元
- バナナ500グラム当り東京25.09元、北京3.5元
- トマト500グラム当り東京45.47元、北京3.8元
- キュウリ500グラム当り東京22.66元、北京3.3元
- 牛肉500グラム当り東京150.27元、北京29.9元
- 鶏肉500グラム当り東京30.27元、北京8元
- 牛乳500ミリリットル当り東京15.06元、北京5.7元
- 卵1パック当り 東京15.06元、北京7.2元
北京と東京の「生活費」に関する物価比較
北京の若者。交通機関で携帯に向かいっぱなしなのは日本と同じ
- 水道代1立方メートル当り東京30.72元、北京4元
- 電気代は中国単位1度数当り東京1.98元、北京0.49元
- 携帯通話料1分当り東京3.04元、北京0.4元
- iPhone 4S(16G)1台当り東京3878元、北京4988元
- 賃貸は中心部の2DKの家賃1ヶ月当り東京6844元、北京1万元
- Rejoice シャンプー500ミリリットル1本当り東京37.87元、北京34.88元
- マルボロ(クリスプミント.)1箱当り東京33.46元、北京29元
- シャトー・ラフィット・ロートシルト(1997年)1本当り東京6464元、北京1.05万元
- ルイ・ヴィトンのボストンバッグ(モノグラム スピーディ30)1つ当り5582元、北京6100元
北京と東京の「交通費」に関する物価比較
整備され利用しやすくなった北京の地下鉄
- ガソリン代1リットル当り東京11.18元、北京8.87元
- 地下鉄運賃10駅当り東京14.4元、北京4元
- バス運賃10駅当り15.2元、北京2元
- タクシー初乗り東京54元、北京13元
- トヨタカローラ1台当り東京13.69万元、北京12.38万元
北京と東京の「教育費」に関する物価比較
幼稚園のイベント風景。幼稚園の学費は月2000元~と安くない
- 小中学校の年間授業料は東京、北京ともに無料
- 大学の年間授業料は東京7.22万元、北京5000元
北京では「高級=良品」とは限らない
観光客に人気の藩家園旧貨市場
キッチュな中国雑貨が揃う南鑼鼓巷
それでは、日本市場という比較対照を持っている日本人観光客にとって魅力的な消費対象とはどんなものなのでしょうか? この答えは人によって違ってくるので難しいのですが、ザクッと言い切れば、「北京ならでは」で「リーズナブルなもの」は普遍的に喜ばれます。だから、観光客にとっては買い物をするなら市場(マーケット)、食事をするなら屋台が人気なのでしょう。もちろん、そう簡単に説明できない部分があるので、後は「食べる」、「住む」、「遊ぶ」、「買う」というカテゴリー別に北京の物価を説明しつつ、旅に役立つ情報を発信していきます!
北京のファストフード“快餐”は安い?高い?
デリバリーサービスを実施するケンタ。マクド、吉野家も
かつて若者の憧れだったマクド
マクドナルドが北京に登場したのは1992年(中国1号店は1990年、深センにオープン)。北京の銀座といわれる王府井に誕生した世界最大規模のマクドナルド(現在は存在しない)は、北京中の人々を震撼させる大ニュースでした。当時、北京に留学していたガイドもよく通っていたのですが、精一杯お洒落した――それこそ正装といえる服装を着た――中国人が少し緊張した面持ちで、ハンバーガーを大事そうに食べている光景を今でもよく覚えています。
后海にある中国風のスタバ
北京にはほかにもケンタッキー、吉野家といったファストフードや、スターバックスなどのコーヒーのチェーン店が町中いたるところに存在しています。価格的には日本よりもやや安めといったところで大きなお得感はありませんが、慣れない外国において馴染みある店舗は一種オアシスのような存在。さて、実際の価格帯について見てみましょう。
■マクドナルド&ケンタッキー
ケンタの朝のお粥は全部で3種類
セットメニューの価格はマクドナルドが約17元(300円弱)~、ケンタが約15元(約250円強)~。2017年現在、マクドナルド、ケンタッキー共にメニューの中国化という特徴が見られます。マクドナルド・ケンタッキ―共に朝メニューにお粥があり、他にもタロイモ味のサンデーやパイ(マクド)、老北京鶏肉巻(北京風チキン ツイスター/ケンタ)、チキン丼(ケンタ)などなど、中国チックなメニューを展開しています。
■吉野家
定番の吉牛(普通盛り)&おでん(2元~)
※●……草冠に姑
■スターバックス
万里の長城柄の御当地タンブラー95元(1500円強) (C)Ayako・H
安くて旨い! 食事は北京旅行の大きな魅力
安くて美味しい店はいつも人でいっぱい
一度は食べたい炸醤麺
前菜、スープ、主菜、主食などが揃うレストランの価格はピンキリですが、北京の庶民に人気のお店は2、3人で飲んで食べて100元前後(1600円前後)。もちろん、北京ダックやアワビ、フカヒレなどを食べようとすれば、お値段もそれなりにプラスされていきます。けれど、北京ダックはやや高級な店でも1匹まるまる約200元(約3200円)と日本と比べればまだまだリーズナブル!
宮廷料理は高くても食べる価値あり
それでは、北京を旅行するにあたって食事の予算はどのぐらいで考えておけばいいのでしょう。旅のスタイルによって変わってきますが、ある程度、北京の食文化をしっかり味わいたいのならば、1人1食1000円(倹約型)~5000円(ちょっと贅沢に)ぐらいで考えておくようにしましょう。
北京のおすすめレストラン&バーについては「北京の中華料理」、「北京の各国料理レストラン」、「北京のナイトスポット」を参照ください。
北京のホテルは予約必須! 気ままにぶらりは少し危険
宿選びは旅の大切なポイント
中国風インテリアのホテルも急増中
気になる価格は……と言うと、五輪を契機にホテルが乱立した北京のホテルの宿泊料は以前と比較すればかなりお得になってきました。前もって予約すれば、5つ星であっても1万円以下で泊まれるホテルもありますし、オフシーズン(11~3月)なら、オンシーズン(4~10月)の数割り引きになる場合も! 平均的な価格はドミトリー50元(1000円弱)~、星ナシ150元(約2500円)~、3、4星で約3、400元(約5000~7000円)、5つ星700元(約1万円2000円)~といったところです(すべて事前に予約した場合)。
さらにお得なのが航空券や観光プランがセットになったツアーです。日本からの航空券込みのツアー料金が、通常のホテル代よりも安い!?なんてことも少なくないので要チェックです。
北京のおすすめホテルについては「北京のホテル」を参照ください。
北京はタクシーもチャーターも交通費はかなりお得!
北京のタクシー。夜間は初乗り11元
※ただし、ここ数年、北京のタクシー不足は深刻化し、朝夕のラッシュ時は空車が皆無となるので、前もって車をチャーターするか、余裕あるスケジュールを組むことをおすすめします。
北京の交通事情については「北京の市内交通」、「空港から北京市内へのアクセス」を参照ください。
北京の観光スポットの料金設定はやや高め
最も有名な万里の長城・八達嶺
北京の観光スポットについては「北京の観光・世界遺産」を参照ください。
北京のお土産予算は“少し多めに”がベター!
自分用としても欲しくなる中国茶器数十元(数百円)
- 陶磁器…芸術品のようなものは目が飛び出るような高値ですが、大量生産のものなら数百円~
- シルク製品…クオリティによって違いますが、一般的にパジャマ3000円程度、ストール1500円程度
- カシミヤ製品…クオリティによって違いますが、一般的に良質カシミヤのマフラー3000円程度、セーター1万円程度
- チャイナ服のオーダーメイド…布地込みで約3万円~
- 印鑑…石によってピンキリですが、篆刻(てんこく)込みで2000円ぐらい~
お土産については「中国のお土産」、北京の買い物スポットについては「北京のショッピングスポット」を参照ください。
さて、北京の物価についてのご紹介はここまでですが、予算組みの参考になりましたでしょうか? 今、北京はあらゆる面において成熟期を向かえつつあり、消費者としてはとても楽しい町になってきています。ぜひ一度、北京の勢いを実感しに来てください!
中国全体の物価については「中国の物価」をどうぞ!
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