驚きの国内格差! 2019年中国の物価

中国の物価事情!旅行に役立つ2019年最新情報

中国経済を支える上海は邦人滞在数が世界一多い都市でもある

中国は2010年の国内総生産(GDP)で日本を抜いて、アメリカに次ぐ世界第2の経済大国となりました。爆発的な経済成長を遂げる中国には環境問題、不動産バブル、貧富の格差、食の安全など様々な問題が内包しているといわれていますが、その中でも物価の上昇は庶民の生活を脅かす問題として特に注目されています。ここでは、注目を集める中国の物価について旅行のときに気になるポイントを押さえながら掘り下げていきたいと思います。

<目次>  

2019年中国の物価最新事情

国家統計局の2019年1月の発表によると、2018年通年の消費者物価指数(CPI)は前年比2.1%の上昇、このうち都市部は2.1%上昇、農村部は2.1%上昇でした。また、同局2019年8月の発表によると、2019年7月のCPIは前年同月比2.8%と上昇が拡大。食品価格が9.1%上昇したことが全体を押し上げました。

今後も物価は上昇しつつもそのスピードは緩やかなものだろうと予想され、2019年のCPIは2~2.5%であろうと予想されています。

2011年7月に上昇率6.5%を記録後、うなぎのぼりだった物価上昇が、近年、落ち着きを取り戻した感じです。とはいえ、日用品や居住費の値上がりは低所得層の生活を脅かしています。

■世界生計費調査「都市ランキング」大陸首位は上海

天安門

北京天安門。3000万円のマンションを「安い」と評する北京人

香港

中華圏内では香港が物価高NO.1。東京以上に高いと評する人も

マーサーの「2019年世界生計費調査(※)」によると、アジア8都市がトップ10にランクイン。うち4都市が中国の都市という結果になりました。

まずは世界トップは前年に続いて香港(1位/前年1位)が選ばれ、中国の都市は10位以内に上海(6位/前年7位)と首都・北京(8位/前年9位)、深セン(10位/前年12位)がランクインしました。

その他の都市も、広州(17位/前年15位)、南京(27位/前年25位)、成都(30位/前年31位)、天津(32位/前年29位)、青島(42位/前年36位)、瀋陽(45位/前年38位)と50位にランクインしました。

日本は東京が(2位/前年2位)、大阪(19位/前年23位)と名古屋(33位/前年41位)という結果でした。

トップ10はその他、シンガポール(3位/前年4位)、ソウル(4位/前年5位)、チューリッヒ(5位/前年3位)、アシガバット (7位/前年43位)、ニューヨーク (9位//前年13位)でした。

その他、ジュネーブト (13位/前年11位)、ロンドン(23位/前年19位)、ミラノ (45位前年33位)、パリ (47位/前年34位)とヨーロッパは軒並み順位を下げています。ちなみに最も低い都市はチュニジア共和国の首都のチュニスでした。

中国で生活していると、上海は食費や住居費、交通費という生活に密接する部分がどこよりも高く、中国大陸における上海→北京→深セン→広州という物価の順序は妥当だと思います。

※世界生計費調査は、5大陸209都市において住居費、交通費、食料、衣料、家庭用品、娯楽費用などを含む200品目以上の価格を調査し、それぞれを比較している。

■中国沿岸部=物価高、西の内陸部=物価安

雲南三江併流

物価が安く「常春」と称される雲南に長期滞在する旅行者は多い

敦煌

中国の西域・敦煌。東と西では風土、文化共に外国ほどの違いがある

2019年1月、中国国家統計局が発表した中国2017年度のジニ係数は0.474%と2013年ぶりに0.47を越えました。北京五輪当時と比べれば低い数字ですが、高い数字をキープしています。

ジニ係数とは所得格差が0~1で表され、0はみんなが同じ所得を得ているということで、平等な所得分配が行われているということ。逆に1に近づくほど格差が大きいということで、1は1人の人間に富が集中している状態を表します。

一般的には0.4が社会で暴動や混乱が起きる“危険”ラインと言われているのですが、なんと、中国は2003年から2018年まで毎年危険ラインの0.4%突破という結果になりました。

  • 2003年 0.479%
  • 2004年 0.473%
  • 2005年 0.485%
  • 2006年 0.487%
  • 2007年 0.484%
  • 2008年 0.491%
  • 2009年 0.490%
  • 2010年 0.481%
  • 2011年 0.477%
  • 2012年 0.474%
  • 2013年 0.473%
  • 2014年 0.469%
  • 2015年 0.462%
  • 2016年 0.465%
  • 2017年 0.467%
  • 2018年 0.474%

しかも、上記の国家統計局の発表が正確ではない、とする声も。多くの専門機関は2010年度にはジニ係数が0.6%を越えたと見ています。実際、中国経済改革研究基金会国民経済研究所副所長・王小魯氏が2010年に行った調査によると、中国の最も裕福な家庭10%と最も貧しい家庭10%の収入差は65倍あるという結果に。利権で設けた金で不動産や贅沢品を買いあさる富裕層と、肉体労働をしても給与未払いで苦しむ貧困層との異常ともいえる格差が社会不安を呼んでいます。

更に、中国は地域ごとの格差も存在しています。中国は東の沿岸部から内陸部の西へ行くほど、物価が安くなると言われています。前項でランキングしている香港、上海、北京、深セン広州はもちろん、すべて沿岸部に属しています。現在、中国は「西部大開発」を掲げ、国をあげて東西格差を縮めようとがんばっていますが、依然その差は小さくありません。

しかし、旅行者にとっては内陸部へ行くほど、物価が安くなるというわけです。ただし、それを実感できるのは外食代やお土産代ぐらいなもの……。詳細は後に述べる「中国旅行者にとっての物価」の各カテゴリーで紹介していきます。

「中国=安い」は過去のこと!「都市部は日本より高い」が実態

北京リッツカールトン

高級ホテルの食事はランチで約数千円/人 (C)The Ritz-Carlton Beijing

炸醤麺

炸醤麺(100円強)。リーズナブルにあげたいなら麺食がおすすめ

ガイドが留学していた1994年当時、中国の物価は本当に安いものでした。大学の学食では1元(当時約12円)でお腹いっぱい食べられましたし、タクシーは10キロまで10元、三ツ星クラスのホテルのブッフェが30元ぐらいで楽しめたものでした。10元札が日本の千円札ぐらいの価値があったのを覚えています。

それから25年、中国はまったく別の国になったといえる変容ぶりです。北京上海などの都市部では庶民が通う安いレストランでも約50元(約800円)/人、お洒落なレストランは、ランチでも一人100元(約1600円)以上と、東京よりも高いこともしばしば。物価の安い地方都市でも20元(約300円)/人といったところ。運賃や通信費、光熱費などリーズナブルな部分もありますが、年々進む元高(人民元の高騰)の影響で、日本よりも高いと感じることが多くなってきました。

中国の物価の「高いもの」と「安いもの」をそれぞれ具体的にみていきましょう。 

「生活必需品=安い」、「贅沢品=高い」という今の中国

実際に中国で生活していていると、生活必需品は安いけれど、贅沢品は高いと感じます。安いもの、高いものを具体的に挙げてみたいと思います。

物価の安いもの

■光熱費

北京地下鉄

近年、都市部を中心に発展する中国の地下鉄

個人差はありますが、約100平米のマンションで家族が暮らした時の一ヶ月の光熱費(電気代、水道代、ガス代)は5000円弱です。

  • 電気代 約6円/ KWH
  • 水道代 約22円/立方メートル

■交通費
地下鉄運賃は大都市・北京や上海が初乗り3元と安価ですし、タクシーは各都市差がありますが初乗り約10~14元とまだまだリーズナブルです。

  • バス 約20円~
  • 地下鉄 約60円~(北京、上海)
  • タクシー 約200~250円
■食費
家族が一日に必要な野菜、肉、果物を庶民の市場で購入すれば、都市部でも1000円ぐらいでまかなうことができます。
  • 米 約150円/キロ
  • 食用油 約200円/リットル
 

物価の高いもの

■嗜好品

中国ショップ

ブランドモノ大好きな中国人。欧米では「第二の日本人」と称される

コーヒーやチョコレートといった嗜好品は日本と同じか、やや高めです。もちろん、日本からの輸入食品は関税の関係でかなり高く、倍~数倍の価格がついています。ただし、タバコは200円以下/箱~とリーズナブル。

■不動産
中国で一番取り立たされているのが不動産の高騰。北京、上海などの都市部では100平米強のマンションで約1億円というのが普通、中心地になると数億円という高値がつきます。大都市では不動産の購入を規制するなどの政策で、販売価格は落ち着いていますが、逆に賃貸価格はうなぎ上り。以前は5万円/月でなかなかの部屋が借りられたものですが、現在、16万円/月でも探すのは至難の業。しかも毎年契約更新ごとに20パーセントぐらいずつ値上がりしているというのが現状です。

※都市部の低所得者は地下室で暮らしたり、1部屋数人という状態で生活。そういった悪条件ならば2万円/月前後の家賃でも見つかります。


■クルマ
新車、中古車ともに販売価格は下降傾向にありますが、日本車など外国ブランドの車を購入する場合、かなり割高になります。ちなみに高級車の販売価格はロールスロイスで約8000万以上~、フェラーリ612 Scagliettiで約7500万円、レクサスLF-Aで約8000万円となっています。

■ブランド品
ルイヴィトンやグッチなどのブランド物の販売価格は日本よりも2、3割高め。また、若者に人気の日本ブランド、ユニクロや無印良品なども同じく2、3割高めで販売されています。そんな高値でありながら、いくつもの有名ブランドの売り上げ世界ナンバーワンが中国に存在しているのですから、中国人の購買力のすごさを感じます。

そのほか、近年高くなったと感じるものに洋服や化粧品があげられます。もちろん、中国には安い洋服、安い化粧品があるのですが、日本で買うものと同等のものを買おうとすると、数倍の価格を払わなければなりません。ガイドも実際、ここ数年、一時帰国の度に洋服や化粧品を日本で購入して中国に持ち帰っています。

また、中国人の友人に日本から買ってきてほしいと頼まれるものは電化製品、日本製の日用品、ベビー&キッズ用品、コスメ、食品など。質のよいものを買おうとすると、日本よりも高いお金を払わなければならないからでしょう。

中国の物価の全体像はここまでということで、続いて「観光費」、「宿泊費」、「移動費」、「食事代」、「お土産代」と旅行者に密接するカテゴリーごとにみていきましょう! 
 

中国旅行者にとっての物価「観光費」

黄山

黄山の繁忙期の入山料230元(約3千円)。けっして安くない中国の観光費
(C)Tabata

青城山

青城山。年中青々と茂る原生林に囲まれていることから命名 (C)Tabata

観光スポットの入場料、ロープウェーなどの観光施設の利用費はけっしてお安くありません。中国が認定した最高基準国内観光 スポット(国家5A級旅遊景区)は、トップシーズンで200元以上、オフシーズンでも100元以上という入場料の設定をしているところが少なくありません。つまり、有名スポットの入場料はおよそ2、3000円と、ほぼ日本と同じような価格設定です。それは中国全土に共通したことで、物価の安い内陸部でも安いということはありません。最近では、観光地の入場料のあまりの高さが問題視され、一部下方修正するところもでてきました。

さて、それでは中国の人気世界遺産の入場料を具体的に見てみましょう。

  • 1位 明清故宮 瀋陽故宮50元、北京故宮4~10月60元、11~3月40元
  • 2位 万里の長城 八達嶺長城(北京)4~10月45元、11~3月40元
  • 3位 峨眉山と楽山大仏(四川) 峨眉山2~11月185元、12~1月90元、楽山大仏90元
  • 4位 五台山(山西)4~10月168元、11~3月140元
  • 5位 ポタラ宮と大昭寺(チベット)5~10月200元、11~4月100元
  • 6位 廬山国立公園(江西)4~11月180元、12~3月135元
  • 7位 黄山(安徽)3~11月230元、12~2月150元
  • 8位 泰山(山東)2~11月127元、12~1月110元
  • 9位 九寨溝(四川)4月1日~11月15日220元、11月16日~3月31日80元
  • 10位 青城山と都江堰(四川)青城山(前山)90元(后山)20元、都江堰90元

>>>中国の世界遺産について詳しく知りたい方は「中国の観光・世界遺産」をチェック! また、世界遺産についての総合的な事柄に興味のある人はAll About「世界遺産」をどうぞ!

中国旅行者にとっての物価「宿泊費」

漢庭快捷酒店

エコノミーホテル。エアコン、ネット設備などが完備していて実用的

中国の宿泊費は日本と比べてやや安いといったところです。五つ星、四つ星ホテルでも1万円ぐらいからありますし、三つ星ならば5000円ぐらいで探せることも。パークハイアットやリッツカールトンなど海外のブランドホテルも、日本よりお得に宿泊することができるのは要チェックです! ドミトリーや民宿のような宿泊施設は、外国人にとって設備的に厳しい部分もありますが、大都市でも1泊千円前後で宿泊できる物件があります。また近年、5000円以内で1泊できるエコノミーホテルが急増し、注目を集めています。

>>>中国のホテルについて更に詳しく知りたい方は「中国のホテル」をチェック!
 

中国旅行者にとっての物価「移動費」

中国鉄道博物館

中国鉄道博物館の内部

移動費、つまり交通費は日本よりもリーズナブル。都市から都市へと長距離を移動する場合、一般的に長距離バス→長距離列車→飛行機の順で高くなっていくのですが、長距離バスと長距離列車の価格は数百円~数千円ぐらいと移動する距離を考えればかなりお得! 国内線の飛行機の値段は数千円から数万円で日本よりやや安めといった印象です。

中国旅行者にとっての物価「食事代」

中華円卓

小奇麗な店での食事には3千円以上/人の予算組みが必要

近年、中国の食事は日本よりも高くなってきています。中国の地方(田舎)の庶民が利用するようなレストランならば、まだまだ日本より安いところもあります。衛生面では心配な部分もありますが、一人ビールを飲んで、お腹いっぱい食べても一人1000円以下という店もまだまだ存在しています。しかし、観光客用の小奇麗なレストランとなれば、一人一食2、3000円は考えておいたほうがいいでしょう。

特に北京上海などの大都市では庶民的な店でも、ビールを飲んで中華料理を数品オーダーするということになると、一人一食1000円で食べることが難しくなってきています。低予算でおさえたいならば、麺類や包子(中華肉まん)など主食メインで注文することをおすすめします。

>>>中華料理について更に詳しく知りたい方は「中華料理」をチェック! 中国の食事のマナーや各地の名物料理についての詳しい説明があります。

中国旅行者にとっての物価「お土産代」

藩家園

お土産探しは地元人が愛用する市場が安くてお得!

中国では同じものでもデパートで買うのと市場で買うのには大きな差があります。いうまでもなくリーズナブルなのは庶民が愛用している市場。同じものでもデパートと市場では10倍近い値段の差が存在することもあります。

もちろん、デパートで売られるものは品質管理がされており、定価が決まっているので騙されることはありません。その点、市場で販売されるものは品質の保証はありませんし、値段交渉をしなければなりませんが、価格はぐっとリーズナブル! しかも掘り出し物が見つかる確率が高いのも市場です。なので、お土産探しにはデパートでウインドショッピングをして、お財布の口は市場で開く――というのが賢いやり方です。

>>>おすすめの中国土産について知りたい方は「中国のお土産」をチェック!

中国旅行者にとっての物価「医療費」

最後は医療費についてです。現在、医療費の高騰は中国の社会問題の一つです。中国で治療を受ける場合は「先払い制」で支払いをすませなければ、診察すら受けられません。大都市の病院は大抵、クレジットカード決済ができますが、地方の小さな病院となるとカード不可のところも……。近年、北京や上海など大都市では、風邪で病院へ行っただけで1万円以上かかるということもよくあります。しかも、一般の病院は英語すら通じないところもありますし、常に長蛇の列で数時間待たされることはあたりまえ。トラベラーにとってかなりハードルが高いといえます。そうかといって、外資系クリニックに行くとなると、1回の治療で数万円~数十万の覚悟が必要です。なので、行く場所や滞在期間によりますが、もしもの時に備えて、海外旅行保険に加入しておけば安心です。

>>>海外旅行保険ついて知りたい方は「海外旅行保険とは?」をどうぞ。


中国の物価についての記事はここまでです。今後も物価上昇が続きそうな中国ですが、ただ価格があがっているだけでなく、安全面や衛生面のクオリティも昔に比べればよくなってきています。日本人にとっては少しでもお得感が楽しめる今のうちに、ぜひ中国旅行を計画してみてくださいね!

中国各都市の物価については「北京の物価」、「上海の物価」、「香港の物価」、「マカオの物価」を参照ください。

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※海外を訪れる際には最新情報の入手に努め、「外務省 海外安全ホームページ」を確認するなど、安全確保に十分注意を払ってください。