マーケティング/マーケティング事例

利益半減!マクドナルドは深刻な不振を抜け出せるか?(4ページ目)

マクドナルドの業績不振が止まりません。2013年12月期は利益が前年より半減するという厳しい決算見込みとなりました。果たして不振の原因はどこにあるのか? そして、その脱出法はあるのか? マーケティング戦略の観点から検証していくことにしましょう。

安部 徹也

執筆者:安部 徹也

マーケティング戦略を学ぶガイド

マクドナルドが復活するためのマーケティング戦略とは?


プレミアムローストコーヒー

マクドナルド復活の鍵は圧倒的な顧客にとっての価値の向上にある!

マクドナルドがかつての輝きを取り戻すために鍵を握るマーケティング戦略は非常にシンプルです。それは、「自社にとって顧客とは誰か?」を特定し、顧客にとっての価値をライバル以上に高めていくだけです。

たとえば、プレミアムローストコーヒーを顧客を取り戻す“戦略商品”と位置付けるならば、コンビニエンスストアの入れたてコーヒーを圧倒的に上回るクオリティに仕上げていく必要があるでしょう。また、味には問題を感じていないけれども、マクドナルドで並ぶ時間にストレスを感じてコンビニのコーヒーに流れているような顧客がいれば、コーヒーのみを注文する専用レーンを設けて待ち時間をなくし、利便性を高めるという施策も顧客にとっての価値向上につながり、効果的かもしれません。

また、マクドナルドはこれまで1000円のプレミアムバーガーやマックカフェ バイ バリスタなど、高価格帯の商品を投入し、話題性や客単価をアップするマーケティングも実施してきていますが、今一つ大きな成功を収めたとは言い切れません。これはマクドナルド自体が高額品をイメージするブランドでないために、既存顧客のニーズとマッチしていないのが原因と思われます。

今や日本経済は回復基調にあり、高額な商品もかなり売れています。カフェでいえば、スペシャリティコーヒーを提供するスターバックスの業績は好調ですし、ファストフードよりもハイクオリティな料理を提供する“ファストカジュアル”という分野も急成長しています。

つまり、高額なクオリティの高い商品を提供すること自体は時流に乗った正しい方向性といえます。

ただ、このようなよりハイクオリティなマーケットをとらえるためには、やはりマクドナルドというブランドでは難しいことはこれまでのチャレンジが物語っています。

この問題を解決するために、新たなブランドを立ち上げることも一つの方法といえます。

マクドナルドで低価格から高価格まで取り扱うことは、ブランド戦略の観点からも難しいでしょう。そこで、低価格帯のマクドナルド、高価格帯の新ブランドという棲み分けができれば、より幅広いターゲット顧客を取り込むことができるのではないでしょうか。

やはり、マクドナルドがこの業績不振から立ち直るためには、今一度顧客視点から自社のあるべき姿を見直し、マーケティング戦略の基本に立ち戻って高い価値を追求し、地道に顧客の信頼を獲得していく必要があるといえるでしょう。
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