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一大ブームの「妖怪ウォッチ」

「妖怪ウォッチ」。多くの人がその名前くらいは聞いたことがあるのではないでしょうか。子どもたちの間で驚異的な人気を博しているゲーム(あるいはそのマンガやアニメ)で、現在、大人たちを巻き込んだ社会現象となっています。実はこの「妖怪ウォッチ」の人気は3年前から周到に準備をされた結果だといえます。今回の記事では次の二点についてマーケティング視点から説明します。

一点目は「なぜ『妖怪ウォッチ』はここまで人気が出たのか?」。そして二点目は「『妖怪ウォッチ』は『ポケモン』に匹敵する数十年に一度の存在になりえるのか?」ということです。

まずは一点目から見ていきましょう。

「妖怪ウォッチ」ブームの裏にある「ダンボール戦機」の存在

「妖怪ウォッチ」の制作会社はレベルファイブという会社です。ここ数年「イナズマイレブン」「ダンボール戦機」などのヒットコンテンツを生み出して来た注目の企業。

子ども向けアニメの世界で、ここまで立て続けにヒットを出し続けることが出来たのはなぜでしょうか。

「イナズマイレブン」のようなサッカーアニメは、そもそも人気のあるスポーツのアニメ版ということで、直感だけでもわかりやすい構図です。しかし「ダンボール戦機」はどうでしょうか。「ダンボール戦機」とは主人公の子ども達が強化ダンボールで組み立てられたラジコンプラモを戦わせるストーリーです。

私は最初に「ダンボール」と聞いた時にはピンと来ませんでした。きっとみなさんと同じようにダンボールにかっこいいイメージを持っていなかったからです。しかし、これも大ヒットアニメとなりました。これに合わせ、プラモデルも発売。その後もカードゲームなど、消費者との接点をできるかぎり多くするような仕掛けをしていきます。結果的には「ダンボール戦機」はプラモデル販売においてガンプラ(ガンダムのプラモデル)以来の記録的ヒットになりました。

この成功が意味することは”キャラクターの良し悪しに大きく左右されることなく、ビジネスとしてヒットさせる仕組みを確立した”ということです。その成功方程式の確立は「妖怪ウォッチ」を爆発的ヒットに結びつける素地となりました。

勝つべくして勝った「妖怪ウォッチ」ヒットの戦略

マンガ「妖怪ウォッチ」は2013年夏から子供に人気の雑誌コロコロコミックで連載されています。当初から人気はありましたが、現在のようなブームだったわけではありません。関係筋によれば、テレビ放映が始まる段階でもっとも人気のあったマンガは「妖怪ウォッチ」ではなく「オレカバトル」などでした。2013年夏に任天堂DSからゲーム「妖怪ウォッチ」が発売されましたが、2014年1月のテレビ放映までの半年間で約50万本程度の出荷だったのです。

2014年1月のテレビ放映開始で状況は一変します。

アニメがテレビで放映されると同時に、玩具店、家電量販店のガチャで関連グッズの「妖怪メダル」が発売されました。これによってテレビで見たシーンを”追体験”することができるようになりました。つまり、この玩具を手に入れることで子どもたちは主人公と同じ気持ちになれるようになったのです。

実は、この「妖怪メダル」は「妖怪ウォッチ」が人気になったから作られたものではありません。一般的には、アニメがテレビ放映され、ヒットしてから玩具などを製造発売するのですが、レベルファイブはマンガの連載が始まる1~2年前から、すでにバンダイと交渉し玩具開発に取り組んでいたのです。

こうして2013年夏のマンガ連載開始と同時にまず第一弾のゲーム発売を行います。そして2014年1月、テレビ放映と同時にメダル玩具を発売。さらに7月には任天堂DSソフト「妖怪ウォッチ2 本家/元祖」を発売しました。これはダウンロード版を除いても100万本を軽く超える大ヒットとなっています。

最近では菓子メーカーとのタイアップや、カードやシールなどメダルではない玩具の発売など、人々が「妖怪ウォッチ」と接する機会はますます増えています。これらのことはすべてマンガ連載以前から、先の戦略として決められていたことでしょう。単なるアニメの企画書ではなく、中長期的視点の入った経営計画書のような緻密な資料をもとに関係各社と交渉し、お互いの力を合わせることで盛り上がりが最高潮になるような仕組みを整えていたというわけです。

ここまでは「妖怪ウォッチ」がなぜ大ヒットしたかということでした。それでは「妖怪ウォッチ」は一過性のブームで終わることなく「ポケモン」のような普遍的な存在になれるのでしょうか。