業績不振の原因はどこにあるのか?<内的要因を探る>
マクドナルドのマーケティング戦略は“迷走”を続けている
内的な要因としては、顧客のニーズに基づかないマーケティング戦略が挙げられるでしょう。
原田元社長は就任当初こそ、斬新なマーケティング戦略で次々と結果を出してきましたが、退任前には顧客のニーズが読み切れずに“迷走”が続きます。
たとえば、顧客の待ち時間を短縮するためにレジカウンターのメニュー廃止に踏み切ります。ただ、このメニュー廃止により、顧客からはメニューがわかりにくく注文に困るという不満の声があがります。これが、顧客の足が遠のく一つの要因となったのです。
また、2013年1月4日から開始した『ENJOY60秒サービス』は、注文を受けてから60秒で商品を提供できなければハンバーガー類の無料券をプレゼントするというキャンペーンでしたが、店員は60秒で商品を提供することだけに必死になり逆にサービスの質の低下につながって一部の顧客の信頼を損ねる結果となりました。
そして、極めつけは価格戦略でしょう。
日本マクドナルドは今年の9月に単品の一部を値上げし、たとえば主力商品のビッグマックでいえば最低310円から最高390円と、店舗によってはライバルのモスバーガーのプレミアムハンバーガーをも上回る価格に設定しました。この値上げによってマクドナルドの商品の価格に対する価値は相対的に低くなったことは否めないでしょう。
また、新たな価格設定モデルでは都道府県に加え、駅前やロードサイド、商業施設内など商圏ごとに9つの価格帯を設け、非常に複雑な価格体系を導入しています。全国チェーンにもかかわらず、店舗によって微妙に違う価格設定に戸惑う顧客も少なからずいることでしょう。クーポンで購入する価格が決まっている顧客は別にして、店に入ってみるまではいくらなのかがわからなければ、不安で入店を躊躇する顧客がいたとしても不思議ではないのです。
このように最近のマクドナルドのマーケティングは顧客目線からは大きく逸脱している戦術が多くなってきています。やはり、マーケティングが「いかに自社の業績を立て直すか」という自社の側に立った近視眼的な施策に終始すれば、顧客離れが加速することは自明の理といえます。
今や顧客には数多くの選択肢があるのですから、少しでも不満があればわざわざその店舗に足を運ぶ必要さえないということなのです。
果たしてマクドナルドが再び勢いを取り戻すためにはどのようなマーケティング戦略が鍵を握るのか? 最終ページで検証していきます。次ページへお進み下さい!