協力しない人や怠ける人が発生しない組織とは?
人が集まれば手抜きをする人が出てくるのもの。「社会的手抜き」をなくすためのコツとは?
一対一で話せば「やりたいこと」や「チャレンジしたいこと」への熱い思いを語ってくれたりするのに、「群れ」のなかにいると他人任せ、リーダー任せになってしまうのは、どうしてなのでしょう?
集団のなかで個人がサボりがちになる理由――「社会的手抜き」とは
一人暮らしのときは何でも自分でやっていたのに、同居した途端に何もやらなくなるのはなぜ?
このことを社会心理学では「社会的手抜き」と呼んでいます。身近な人間関係のなかでも「社会的手抜き」はしばしば起こります。
たとえば、独身時代には洗濯も掃除もマメにやっていた娘や息子が、実家に帰ってくると親任せで何もしなくなる。
一人旅の計画は完璧に立てるのに、仲間との旅行計画は他人任せになる……。こうしたこともすべて社会的手抜きです。
集団活動で努力した成果は、必ずしも自分の利益に直結するわけではありません。だから、集団のなかでは手を抜く人が表れるのでしょう。「社会的手抜き」の多くには悪意はなく、無意識にやっていることが多いのです。
とはいえ、「社会的手抜き」が放置されると、集団のために頑張る人が損をし、自分のことしか考えていない人や手抜きのうまい人ばかりが得をしてしまいます。ひどくなると、他人の成果に“ただ乗り”をする「フリーライダー」で溢れてしまうことも……。こうなると、組織の生産性は低下する一方です。
次に「社会的手抜き」を防止するコツを2つご紹介しましょう。
「社会的手抜き」の防ぎ方1:「やるべき仕事」をきっちり決める
「やるべき仕事」が決まっていれば、他人任せにせずに積極的に参加できる
「気がついた人がやろう」「みんなでやろう」という状態では、結局は頑張る人にばかり負担が偏り、手を抜く人が得をしてしまいます。
職場や学校はもちろんのこと、プライベートのちょっとした集まりでも、一人ひとり「やるべき仕事」をもつことが必要です。
たとえば、仲間とキャンプをする場合、リーダーばかりが仕事を負担するのではなく、「場所決めは○○さん」「お金の徴収は○○さん」「火起こしは○○さん」というように、メンバーの性格や特技に合わせて「やるべき仕事」を任せていくといいでしょう。
人数が多い場合には、2人1組などのユニットをいくつか作り、メンバー全員に「何らかの役を担っている」という意識を持たせるといいでしょう。
ただし、仕切り役のリーダーが反感を持たれないためにも、リーダー自身も自分の仕事の内容をメンバーに伝えておきましょう。特に、連絡と調整、スケジュール作成のような「要」となる仕事は、リーダー自身が行う方がいいでしょう。
「社会的手抜き」の防ぎ方2:「プラスのフィードバック」でやりがいを与える
「とてもよかったよ」と言われれば、「次も頑張ろうかな」と思えるもの
仮に「この店、いまいちだったな」という思いが残ったとしても、そこをわざわざ指摘して、次回のモチベーションを下げないこと。「今回の店もよかったけど、うちのメンバーにはこういう店が合っているかもね」などと、さりげなく改善点を伝えていくといいでしょう。
せっかく頑張ってくれた人が恥をかかないようにし、「役に立ててよかった」「また協力したい」と思ってもらえるようにするのが、リーダーの腕の見せ所。効を奏せば、メンバーには「やらされ感」が生じず、与えられた役割を楽しみ、色々と工夫してくれるようになります。
リーダー役の人は、最初は大変かもしれませんが、サイクルがうまく回れば、メンバーの自主性が高まり、リーダー自身も楽になります。ぜひ、家庭や学校、職場、サークルなどの身近な集団のなかで、試してみてください。
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社会的手抜きは自然現象。大切なのは事前の発生予防
人が数人集まれば、社会的手抜きが発生してしまうのは、自然の成り行き。だからこそ、事前に社会的手抜きが生じることを想定し、発生しにくい条件をつくっておくことが大切なのです。リーダー役の人は、最初は大変かもしれませんが、サイクルがうまく回れば、メンバーの自主性が高まり、リーダー自身も楽になります。ぜひ、家庭や学校、職場、サークルなどの身近な集団のなかで、試してみてください。
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