商品ごとに標準仕様とオプション仕様。優先順位を明確にして検討を
一戸建てでもマンションでも、新築でもリフォームでも、多くの方が取り入れるシステムバス(ユニットバス)。メーカーや商品シリーズによって選択できるパーツやアイテムは異なりますが、プランニングの際には、設定されているいくつかの浴槽や内装材、水栓金具などの中から選び、組み合わせることになります。商品ごとに、標準仕様(基本仕様等)とオプション仕様(グレードアップ仕様等)があり、特にオプション仕様には、快適さやデザイン性の高める、魅力的なアイテムが揃っています。選び方によってプランはもちろん、価格にも大きく影響するため、優先順位を明確にしてプランニングすることが大切でしょう。
浴槽につかりながら、臨場感のある映像と天井から降りそそぐサウンドを楽しめる。フルデジタルサウンドシステムと組み合わせることも。 [スパージュ アクアシアター] LIXIL
オプション設定は商品ごとに異なる。心地よさや使い勝手がアップ
メーカーや商品シリーズによって、オプション仕様に設定されるパーツやアイテムはさまざまです。普及価格帯のシステムバスではオプション仕様となっていても、高価格帯の商品では標準仕様となっているケースも。また、同じアイテムでも一般的な機能やデザインのものは標準仕様に設定され、多機能であったりこだわりのデザインのタイプなどはオプションとなる場合もみられます。個々の商品によって異なりますが、一般的に、オプションやグレードアップ仕様となるケースが多いパーツやアイテムは、それらを取り入れることで、心地よさや使い勝手、安全性や省エネ性が高まるものが多いでしょう。
リラックスできる癒しのアイテム
最近のシステムバスは、身体を清潔に保つだけでなく、よりリラックスできる、癒しの場としての空間づくりが可能な商品が多くみられます。各メーカーのシステムバスには、リラックス効果を高めデザイン性の高い浴槽、シャワー水栓などが揃っています。お湯に広がったミクロのオイルが、入浴によって水分を含んだ肌のうるおいを保つ。 [オイルヴェール酸素美包湯] パナソニック エコソリューションズ
システムバスに設定されている浴槽の形状は豊富になってきています。標準仕様の浴槽でもゆったりと身体を伸ばせたり、半身浴ができるように座れる部分を設けたタイプがみられますが、より広がりを実現するために工夫された浴槽やデザイン性を高めたタイプなど特徴的な形状を持つものがオプションやグレードアップ仕様となるケースも。また、素材も、人工大理石やメーカー独自に開発したものなど、いくつかの種類(ランク)を設定し、グレードアップできるケースもみられます。
■ジェット噴流機能など
浴槽に搭載される噴流機能もオプションとなるアイテム。噴流口の数、さまざまな水流や細かな泡(マイクロバブル)など、各社工夫を凝らしています。メーカー独自に、お湯に工夫を施したものなども。取り入れる際には、それぞれ、どんな効果があるのか、ショールームで実際に確認することが大切でしょう。
■多機能シャワー・オーバーヘッドシャワーなど
シャワーを楽しむ方も多くなり、数種類の水流を使い分けることができる多機能シャワーも注目されています。最近では、上から水流が降り注ぐオーバーヘッドシャワーなどを揃えたシステムバスもみられるようになりました。デザイン性もアップし、空間のポイントともなるアイテムでしょう。
■ミストサウナ
浴室換気暖房乾燥機のひとつの機能として、ミストサウナも人気のアイテム。メーカーによって、その特徴は異なりますが、発汗作用や温浴効果、美容効果が期待できるものです。
■浴室テレビ、サウンドシステム
入浴しながら、好きな番組や音楽を楽しむことができる浴室テレビやサウンドシステムも揃っています。空間に馴染む、すっきりとスリムな形状のワイドサイズのタイプもみられます。天井などに防水スピーカーを埋め込むサウンドシステムは、携帯型音楽プレーヤーやヘッドホンステレオなどとつなぐことも。天井からの臨場感のあるサウンドを楽しむことが可能でしょう。
天井に設けた防水スピーカーから、お気に入りの音楽が流れ、ゆったりとくつろぐことができる。 [アライズ フルデジタルサウンドシステム] LIXIL
居心地のよい空間、ゆとりを感じさせるアイテム
バスルーム空間としての心地よさを高め、広がりを感じさせるアイテムもみられます。演出効果の高い照明、開放感のある窓や出入口扉などもさまざまなタイプが揃っています。■照明プラン
照明器具では、標準仕様でも、空間の広がりを実現するため、天井埋め込み型やスリムなタイプなどもみられるようになりました。オプションでは、壁面を照らすような演出効果の高いプランや調光システム、浴槽内の照明など、リラックス効果をもたらすようなアイテムが用意されています。
低い位置にあかりを灯すことで、やさしい光に包まれた空間を演出。シーンに合ったあかりが楽しめる。[キャンドル調LED照明] パナソニック エコソリューションズ
出入口扉は、一般的に用いられているのは折れ戸タイプ。他、開き戸(ドア)タイプ、引き戸タイプなども揃い、開口部を広く取ることのできる3枚引き戸なども安全・安全面から注目されています。隣接する洗面脱衣室とのつながりや空間に広がりを持たせるために、透明強化ガラスを用いたタイプなども増えてきましたし、枠の色のバリエーションを揃えた商品もみられます。
■窓
空間の広がりを生み出す窓には、引き違い窓やルーバー窓はもちろん、出窓やデッキに直接出ることができるテラス窓なども用意されています。また、断熱性の高い窓、ブラインドや面格子などを取り入れることができる商品も。開口部は、間取りプランと大きく関わるので、早めに検討することがポイントです。
■床暖房
冬場、寒い日に重宝するのが床暖房。入るときのヒヤッとした寒さが解消され、浴室内の暖かさを保ち温度変化によるヒートショックを防止するもの。給湯システムとも関わるので、取り入れる際には、設計担当者に早めに相談することも大切でしょう。
環境に配慮したエコロジーなアイテム
節水や節電など、環境に配慮した商品も充実しています。標準仕様でも設定されているケースが多くみられますが、より性能を高めたアイテムがオプションで揃っています。■保温・断熱材
断熱効果を高めた浴槽が人気です。浴槽は基本仕様となっていても、断熱性の高いフタはグレードアップ仕様となることも。また、ユニットバス全体を断熱保温するオプションもみられます。壁や天井、床などの保温性を高めたものです。
■節水水栓・シャワー
節水機能を高めたタイプのシャワーや手元で出し止めができるタイプのものなども増えてきています。商品によっては、標準仕様となっていますが、機能性やデザイン性の高いタイプなど、オプションとなる場合もあるようです。
■LED照明
省エネ効果の高いLEDを設定としたタイプも増えてきており、デザイン性も高まってきています。商品によっては、標準仕様となっているケースもみられます。
■残り湯利用システム
洗濯の際に、浴槽の残り湯を利用できるシステムもみられます。専用の配管で浴槽と洗濯機を直結、ボタンひとつで浴槽から残り湯をくみ上げ再利用することができるので、洗濯機のホースを出し入れすることもなく、空間の邪魔になりません。洗濯機によっては対応できないこともあるので、事前に確認が必要でしょう。
掃除やお手入れ、家事を楽にするアイテム
バスルームは、湿気が溜まりやすく、カビの発生も気になる場所。お手入れのしやすく家事を楽にするオプションも提案されています。暖房、衣類乾燥、換気、涼風機能を持つ、ビルトインタイプ(天井埋め込み)。 [三乾王 TYB3000シリーズ] TOTO
換気、乾燥、暖房、涼風などの機能を持つ浴室換気暖房乾燥機は人気の高いアイテムのひとつ。換気によるカビの発生を抑え、また、天候に左右されず洗濯物を干すことができるのは大きな魅力でしょう。
もちろん、寒い季節でも温かく入浴でき、温度変化によるヒートショックの防止にもなる暖房機能、夏場の入浴の際にのぼせなどを防ぐことができる涼風機能なども心地よさを高め、使い勝手のいいものです。
■収納ラック・間仕切収納
バスルームには、ボディソープやシャンプー、子供用のおもちゃなどの収納スペースも必要です。壁に設置されたラックやカウンター下のスペースなどは、標準仕様で用意されているケースが多くみられますが、デザイン性の高い棚などはオプションとなることも。また、壁面に埋め込むタイプの収納棚やバスルームと洗面脱衣室の間仕切りを兼ねた収納などもみられます。
■浴槽洗浄機能
手間のかかる家事のひとつが浴槽掃除。メーカーからはスイッチひとつで浴槽を洗うことができる機能も提案されています。浴槽の洗浄ノズルからお湯と洗剤を噴射し、浴槽全体を洗うことが可能なのものです。
スイッチひとつで、浴槽の開栓→洗浄→閉栓→お湯はりを自動で行える。[サザナ プレミアムHGシリーズ おそうじ浴槽] TOTO
安心・安全に配慮したアイテム
浴室は、安全性も十分に配慮したい空間です。使い勝手のいい手すりやバーのバリエーションも増えていますし、介護のための機器なども充実してきました。■手すり・バー・グリップなど
基本的な手すりは標準仕様のアイテムもありますが、家族構成や年齢によっては、より安全性を高めるために、浴槽の出入りや出入口からの移動に使いやすい位置などに追加しておきたいもの。デザイン性の高い形状や素材の手すりの提案もみられます。
また、浴槽内のグリップも浴槽への入り方や立ち上がる姿勢、洗い場の使い方などによって、設置する位置を決めること。最近では、シャワーバーと兼用できるようなデザイン性の高い手すりもみられます。
■介護用のリフト
洗い場から浴槽への移動の場合に対応するリフト、浴槽での立ち座りや出入をサポートするシートなどのオプションもみられます。また非常時のための非常コールボタンなども用意されています。
このようなオプションは、メーカーや商品シリーズによって、取り入れることができるアイテムは異なります。システムバスのグレードによって、標準であったりオプションであったり、また設定がなく取り入れることのできない場合もあります。
商品選びの際には、本体価格だけでなく、標準仕様で組み込まれているもの、オプションで用意されているアイテムやプラスされる価格など、トータルで検討することがポイント。取り入れる機能や設置する場所、リフォームの際などに、施工上必要な部品や部材などのオプションもあるので、設計担当者やショールームのアドバイザーに相談しながらプランニングすることが大切です。
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