沖縄を象徴する共用部のしつらえ
建物入口のしつらえも楽しみだ。まずエントランスの外壁には、沖縄の「グスク(城)」をモチーフにした積石が施される。車寄せも石畳に。プライバシーを重視しつつ、高質な建物の顔としての役割を兼ね備えた。ゆったりとしたラウンジのソファ置き場は、あえて段差を設け、座った目線に南国特有の鮮やかな植栽を眺められるよう工夫している。ラウンジでは、天井にも趣向を凝らした。仕上げの異なる六角形の素材を貼りあわせるのだが、これは光と花の色彩を空間全体に程よく行き渡らせるアイデアのひとつである。現場では、どの仕上げ面をどれくらい使うか、実際の採光および夜間の照明のイメージを試しながら決めていく。華やかでありながら、品格を失わないための丁寧な仕事ぶりが伺えた。
風速90mに耐え得る開口部を
沖縄は、台風銀座として知られている。マンションの開口部まわりやバルコニーでは、風速90mでも損傷の出ない設計が施されているという。例えば、クレセント錠(サッシュの鍵)は上下2か所に設置。バルコニーのアルミ枠は、支柱と土台の接合部を溶接ではなく、圧延にて形成させ、両サイドを鉄筋ではさむように施工している。支柱の埋まったコンクリート部分の幅が厚いのはそのためである(画像参照)。資産価値に期待
スーパーゼネコンがその高い施工技術を駆使し、話題のタワーは着々と完成に向かっている。周囲の価格相場からみれば、幾分上目ではあるが、それでもひょっとしたら「じつはリーズナブルかもしれない」ことは、その売れ方が物語っている気がするのだが、いかがだろう。本当に希少な立地のマンションは、不動産事情に明るい人が買うケースが見られ、複数戸契約する購入者も珍しくないらしいというが、この現場も同様の傾向が見て取れるようだ。賃料相場も高い一画だそうで、事業(賃貸)用として所有する検討者も少なくないのだとか。資産形成としての購入例の多さは、東京以外で実在するのが意外とも思えるが、個人的には見聞を広める必要性を強く感じた現場であった。
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