将来の資産性を見据えた「外観とエントランス」
「あせらず、買いがくるのを待つ」。これは、売りの鉄則である。在庫化による負のイメージを恐れ、あの手この手で訴求しても、結局売れるかどうかは物件の魅力次第。企業PRやモノづくりの姿勢を別予算を組んでまで訴求する必要を感じていないのだ。しかし、ここで肝心なのは、住友不動産のマンションにみられる、ある特徴だ。それは、外観とエントランスの見応え。事業責任者である岡田執行役員はいう。「我々のつくるマンションの特長は、外観とエントランスのグレードを守ること。なぜなら、買った人が売るときに周りより豪華な建物にみえたら、少しは高く売れるかもしれない。内装はリフォームで替えられるが、外観は不可能。資産価値を支える努力こそ、デベの役目ではないか」。
この発想は、竣工完売を良しとしない方針の裏付けでもある。実物に絶対的な自信があるからこそ、青田の段階で無理をしない、完成してその良さを理解してもらえと現場にメッセージを出せる。売れる物件の条件を熟知しているのだ。競合大手の経営幹部がこう漏らした。「なぜ、住友不動産は利益率が高いのか?」戦略通り、と捉えるしかないだろう。
集約型「マンションギャラリー」
その住友不動産が、またまた業界の話題をさらった。集合ギャラリーである。現在、同社は23区内の分譲マンションを5か所の販売センターで集約して売っている。秋葉原、田町、渋谷、新宿、池袋の山手線ターミナル駅だ。青田の段階では極力販促費を投じないといった考えをより強めたと思う反面、不動産は現地近くで地元相手に売るというセオリーを自ら背いた格好と受け取れなくもない。入居するビルは、すべて自社所有の建物。どこもが、すべてのマンションを取り扱う。こまかな質問にも営業マンが応えられるのか疑問に思うが、いまのところ大きな問題はなさそうだ。それよりも、モデルルーム特有の敷居の高さを感じない、はじめてマンションを検討する人にとっては、気軽に訪れる場所になっているという。
ホテルに勝るとも劣らない「シティタワーズ豊洲ザ・ツイン」の大空間ロビー。壁式免震ならではの美しい外観を世に知らしめた「目白ガーデンヒルズ」。そして、タワーマンションの新スタイル、ガラスカーテンウォールを立て続けに発表した進取の気象は、一定の評価が成されてしかるべきか。賛否両論を巻き起こしながらも、不動産業の王道を貫く住友不動産に今後も目が離せない。
<デベロッパーのDNAとマンションブランド>
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