児童虐待には3種類のリスク要因がある 

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身近な人の児童虐待に心当たりはありませんか?

「児童虐待防止法」の制定から12年がたちましたが、全国の児童相談所で対応した児童虐待相談件数は、集計を開始した1990年度から毎年増え続け、直近の2011年度では過去最多の5万9862件に上っています。

「児童虐待防止法」の定義によると、児童虐待とは保護者がその監護する児童に対して次のような虐待を行うものとされています。その虐待の種類とは、(1)身体的虐待(殴る、蹴るなどの身体に加えられる暴力)、(2)性的虐待(児童にわいせつな行為をする、させること)、(3)ネグレクト(必要な養育を行わずに放置する、食事を与えないなど)、(4)心理的虐待(暴言を浴びせる、おびえさせる、子どもの前でDVをするなど)の4つです。

そして、児童虐待が起こる背景にはさまざまな要因がありますが、「子ども虐待対応の手引き」(厚生労働省)では、主に次の3つのリスク要因に分類しており、さまざまな要因が複雑に絡み合うことで起こるとされています。

(1) 保護者側のリスク要因
妊娠、出産、育児を通して発生するもの、保護者自身の性格や、精神疾患などの心身の不健康から発生するもの
(例)
・望まない妊娠で、妊娠そのものを受け入れられない
・生まれた子どもに愛情を持てない
・保護者が未熟で、育児不安、ストレスが蓄積しやすい
・マタニティブルー、産後うつ病、精神障害、知的障害、慢性疾患、アルコール依存、薬物依存等により、心身が不安定になりやすい
・保護者自身が虐待経験を持っている
・攻撃的な性格、衝動的な性格    など

(2) 子どもの側のリスク要因
手がかかる乳児期の子ども、未熟児、障害児などのほか、子どもの側に何らかの育てにくさがある場合など

(3) 養育環境のリスク要因
複雑で不安定な家庭環境や家族関係、夫婦関係、社会的孤立や経済的な不安、母子の健康保持・増進に努めないことなど
(例)
・家族や同居人、住む場所が変わるなど、生活環境が安定しない
・家庭内で、夫婦の不和やDVが起こっている
・親戚や地域と関わりを持たず、孤立している
・失業や仕事が安定しないなどで、経済的に行き詰っている
・母子共に必要な定期健診を受けていない    など

問題がいくつも重なると追い詰められやすい 

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子どもを愛していても傷つけてしまう児童虐待

もちろん、これらはあくまでも虐待にいたるおそれのあるリスク要因であり、こうした要因を持つ人がすべて実際の被害者、加害者になるわけではありません。

しかし、環境や人間関係、養育者自身に課題があり、また子ども自身に育てにくい要因がある場合には、そうした要因を持たない人よりも、問題を放置したり、追いつめられた心理状態になりやすいと思われます。

さらには、要因がいくつも重なる状況にある場合、より深刻な心理状態になり、「叩いてはいけない」と思いながらも、泣かない子どもを制した手がいつしか暴力に変わってしまったり、子どもが泣き叫んでいても、すぐに応えてあげる力が湧かなくなってしまうようなことも起こりうると思います。