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新築マンション市場、都心の売れ行きに陰り!?(2ページ目)

先月、都区部の新築マンションの成約率は66.9%を記録。好不調のライン(70%)に届かなかったばかりか、全体平均69.3%をも下回った。分譲単価も平米当たり70.9万円で、前年比11.0%のダウン(全体では6.3%ダウン)。これまで首都圏を牽引してきた都心のマンションが、9月に限っていえば「値下がりが大きく、かつ売れていない」。低迷の要因を探ったみた。

坂根 康裕

執筆者:坂根 康裕

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期待の膨らむ大型住宅ローン控除

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春から夏にかけて、武蔵小杉のタワーが坪単価で@300万円近い値段で売れていること、都心でも中目黒の価格上昇や人形町の高値でも好調な売れ行きを紹介してきた。しかも、これまでなら慎重な8,000万円台から1億円クラスの動きが活発である、と。

しかし、そんな足元の市況のなかで、ビッグニュースが飛び込んだ。消費税増税を前に、過去の過ちを繰り返すまいと各省庁が増税後の冷え込み回避策を打ち出したのだ。その目玉が最大1,000万円の住宅ローン控除である。

ここ十数年、住宅ローン控除は、その最大控除額が500万円だった(長期優良住宅の場合は600万円だが、マンションでは実存しなかった)。10年以上も下がり続けた不動産デフレを脱却するとき(2004年)も、百年に一度の大不況といわれたリーマンショックのとき(2009年)でさえ上限が500万円だったのだが、今回の優遇案は、その倍の恩恵を与えようとしているのである。

買い替え層は、「じっくり待つ」?

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この大型住宅ローン控除が実現するかどうかは、年末にかけての国会次第だが、もしその通りに決まれば、相当な市場活性策になることは間違いないだろう。消費税増税分のデメリットをはるかに超えるメリットがあることは明らかだからだ。

地価が底をうった2002年から10年。当時、新築マンションを買った人で、含み益を期待できる人は少なくないのではないだろうか。買った値段より高く売れる。しかも、数百万円の所得税控除を経験済み。資産価値の高い物件を選び、タイミングの良い時期に買うことの重要さを実証した人たちは、この先どう考えるだろうか。限度額を使い切るケースは比較的年収の高い人たちであり、資産価値が落ちないエリアは都心部に多い。

10年前、新築マンションでキャピタルゲインを得た人たちは皆無だったといえる。いつどんな物件を買ってもデフレで損を被ったケースしか見られなかったからだ。直近の成功体験をもとに、あるいはそれを横目で見ながら、需要市場はこの先どのように判応するだろう。9月の数字は、すでにはじまった「様子見」なのだろうか。

【関連サイト】
不動産経済研究所

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