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ナショナル麻布スーパーマーケット

東京・港区の南麻布で、今、大手マンションデベロッパー2強による販売合戦が繰り広げられています。三井不動産レジデンシャルの「パークホームズ南麻布 ザ レジデンス」と、野村不動産の「プラウド南麻布」が6月から販売を本格始動させています。

この南麻布という地名は、江戸時代には武家屋敷が立ち並び、その後は領事館や大使館が多く設置された由緒ある土地の系譜を有しています。そのため、どちらの物件もその流れを引き継いだ設計思想が継承され、敷地との調和や統一感を大事にしたランドスケープが演出されています。

さて、ここで、私ガイドが注目したのは、どちらも「定期借地権」の分譲マンションだという点です。定期借地権とは契約期間満了に伴い確定的に借地関係が終了し、契約の更新が認められない借地権のことをいいます。借地権には「普通借地権」と「定期借地権」がありますが、契約を更新できるのが普通借地権、更新できないのが定期借地権です(図表1)。あらかじめ借地期間を確定させることで、地主が土地を放出(供給)しやすくなるよう定期借地権という制度が創設(1992年に法施行)されました。
一般定期借地権と普通借地権の比較

  

それから今年でちょうど20年。今般、敷地を借地権とする分譲マンションが都市部を中心に散在するようになっています。時の流れによる住宅観の変化とも無関係ではないでしょう。はたして、借地権マンションは「今が買い」と言えるのか?―― 本コラムで、その魅力と課題を考察してみることにします。 

「賃借権」VS「地上権」  賃借権より自由度が高いのが地上権 

まずは実際、どのような借地権マンションが販売されているのか、その現状を見ることから始めましょう。

【図表2】に、東京23区内で分譲中している主な借地権マンションをまとめてみました。ひと口に「借地権マンション」といっても、権利形態は様々なことが分かります。たとえば、大京の「ライオンズ外苑の杜」は、敷地の権利形態が「所有権の共有および賃借権の準共有(普通借地権、借地期間60年)」となっており、借地権割合が約5%という一部普通借地権を取り入れています。そのため、1平方メートルあたり約19円、70平方メートル換算で毎月およそ1300円の地代負担が発生することになります。

都内で分譲している借地権マンションの一例

 

補足を兼ねて用語解説しておくと、借地借家法に定める借地権とは、建物の所有を目的とする「地上権」または「土地の賃借権」をいいます。借地権の建物を占有するという意味では同義なのですが、地上権と賃借権では有する特徴に【図表3】のような違いがあります。

「賃借権」という言葉は耳にしたことがあっても、「地上権」は聞いたことがない人も少なくないはずです。地上権とは噛み砕いていえば、所有権ほどの自由度(住む・貸す・売る自由度)はないけれど、賃借権よりは自由度が高い権利のことです。要は、地主の影響を受けにくいということです。そのため、同じ定期借地権マンションでも「賃借権」より「地上権」のほうが、法解釈上、マイホームとしての資産価値は一般的に高くなります。
地上権と賃借権の違い

 

 引き続き、次ページでは「転借地権」について用語解説することにします。