資格さえ取得してしまえば安泰、メシを食えないことはないという時代は過去のこと。生き残りを賭けた価格競争が激しさを増す中、不安を持つ方が多いのも当然かもしれません。
今回は、複数資格を活かして士業兼起業コンサルタント(R)として開業しているガイドの経験の中から、これから起業独立開業を目指している方に向けて、士業で起業・独立開業するノウハウを公開していきます。
何のために起業・独立開業するのか
何を実現するために起業・独立開業したいのか
もし、「取れそうな資格だから取得した」、「せっかく資格を取ったのだから、それを活かして起業・独立開業したい」、「メシを食っていくため」、「家族を養っていくため」というようなことだけが頭に浮かんだのであれば、もっと突き詰めて考える必要があります。士業で食べていくには、それだけでは思いが弱いのです。ここを考えていなかったり、ピンぼけしたままだとうまくいきません。
例えば、あなたがこれから家を建てるにあたり、大工のAさんとBさん、どちらに建築を依頼するか迷っていたとします。そこで二人に「何のために大工の仕事をしているか」という質問をしてみました。
Aさんは「家族を養っていくため」と答えました。
Bさんは「施主さんの家族がずっと幸せに暮らせるような良い家を作ることに喜びを感じているから」と答えました。
あなたは家の建築をどちらに依頼したいですか?
依頼者の立場に立ってみてください。士業も同じなのです。
あなたの限られた人生の時間を使って何を実現したいのか
をとことん突き詰めましょう。
これが理念です。遠回りのようですが、非常に重要なことです。一本筋の通った理念があれば、依頼者にも世間にも伝わり、起業・独立開業後も物事が良い方向に回転していきます。
ちなみにガイドの理念は、「起業支援をライフワークとし、一人でも多くの成功者を生み出すことで、日本を元気にしたい!」です。
コンセプトを決める
一本筋の通った揺るぎない理念が決まったら、次にそれをコンセプトとして具体化していきましょう。ここで非常に大切になってくることが業務分野とターゲット層の絞り込みです。漫然と「何でもできます。ご相談ください」というのでは、多数のライバルの中で埋没し、価格を唯一の競争要素として生き残りを賭けるということになりかねません。誰に何を提供するのか、コンセプトをとことん考えましょう。■どの業務分野にするか
まず、あなたが提供できる業務のうち、どれを中心業務としますか。業務分野をなるべく絞り込みましょう。もちろん理念と連動して絞り込むことになります。ここが明確に決まっていないままだと集客の際にもピンぼけして苦戦します。
あなたの特徴やあなたにあって他の人にはない要素などを書き出してみましょう。年齢、性別、居住地、職務経験の深さ、経験年数、各業務の知識の幅や深さ、所有資格、専門分野以外の知識、特技、趣味、人脈、特殊な経験などです。その中からキーワードが見つかるはずです。その業務分野で全国ナンバーワンになる自信があるくらいにまで思い切って絞り込んでみましょう。
例えば、ガイドの場合のコンセプトは
- 複数の資格を取得している
- 会社員として様々な業種、職種を経験してきた
- 財務、資金繰りの仕事を得意としている
- これから起業する人に対して
- 窓口一つでまるごと起業の相談ができる環境を提供
- 中でも創業融資、助成金など起業時のお金に関することを得意分野とし
- 起業前から起業後まで総合的に経営を支援する
■誰をターゲットにするか
その業務を誰に対して提供しますか。性別、年齢、居住地、職業、立場、ニーズや悩みなどできるだけ細分化して絞り込みましょう。
例えば、ガイドの場合は
- 自分が36歳の時点で起業したこと
- 起業志望者の中心年齢層が25歳~45歳であること
- 会社設立、創業融資、税務などを中心業務とすること
- 東京で起業・独立開業すること
- 25歳~45歳までの起業予定の男性
- 現在は会社員
- 東京及び近県に居住
- 会社設立を予定
- 創業融資や助成金の獲得を検討
- 社外にブレーン及びアウトソーシング先を求めている方
■ターゲット層が抱えているニーズ、悩みは何か
上記を考えるにあたって大切なのは、ターゲット層が今、抱えているニーズ、悩みは何なのかという視点です。決して提供する側の独りよがりな内容になってはいけません。可能な限り、ターゲット層に近い立場の方にヒアリングするなど、ニーズや生の悩みの声をリサーチしながら進めることをオススメします。
いかがでしょうか。業務分野やターゲット層の絞り込みについてのイメージは浮かんできましたか。ただ、このアドバイスをすると必ず返ってくるのがこの言葉。それは、「そんなに絞り込んでしまったら怖い」という言葉です。
気持ちは非常によくわかります。ただ、実績も経験もないうちに漫然と「面」で勝負した場合、多数のライバルの中で埋没し、なかなかうまくいかないことが多いのも事実なのです。それよりも、戦略的に絞り込みを行い、あなたの強みという尖った強力な「点」で勝負するべきだと考えます。