子どもの心を強くするカギ……精神医学的なポイントは?

子供のメンタルの強くする方法 親が知っておくといい精神医学からのアドバイス

お子さんが大人になった時の、心の健康を左右するトラウマ、劣等感、性的発達段階といった事は、子ども時代にルーツがある事を親御さんは是非、ご留意ください

「三つ子の魂、百まで」という言葉があります。人の気質は3歳までに定まるということなのか、それとも、生まれて3年も経てば元々の気質がはっきり出てくるということなのか……と微妙な命題も気になるかもしれませんが、やはりその時期から、子どもの心の性質が気になる親御さんは少なくないと思います。

このストレスフルな時代では、できればメンタルの強い子であってほしい、そしてそのまま、メンタルが丈夫な大人になってほしいといった願いもあるのかもしれません。

お子さんをメンタルが強い子に育てる上で、精神医学的に役立ちそうなポイントがいくつかあります。今回はメンタルヘルスの基礎知識として、メンタルの強さは育てられるのかに絞って、話を進めていきます。

<目次>    

子どものしつけは厳しすぎも甘やかしすぎも逆効果

まず親御さんとしては、子どものしつけは厳しいくらいがよいのか、それとも甘やかしてよいのかが気になるところかもしれませんが、その結論は、どちらの場合も「いきすぎないこと」です。

子どもが大人になった時、いわゆる立派な大人になってほしいと願うものでしょう。もっとも何をもって「立派」と定義するかは難しいもので、意見はかなり分かれることと思います。どんな「立派」にも共通しそうなポイントとしては、「礼儀正しい」「ある程度周りの空気を読める」「相手の気持ちを思いやれる」「頑張らなくてはいけない時に頑張れる」といったことでしょうか。これらを満たす大人になるためには、やはり子ども時代の親からのしつけは大事です。でも大事とはいえ、それがあるレベルを超えてしまうと、逆効果です。

厳しいしつけの極端な例として、生まれたばかりの子を千尋の谷につき落とすライオンのたとえ話は有名ですが、もしも人間の親のしつけが、そのような厳しすぎるレベルで行われれば、子どもの心にはトラウマが残ってしまう可能性が高いです(また、ライオンの話でも実際のところは、子どものライオンが谷に落ちれば、親はすぐ助けに向かうそうですよ……)。

反対にいきすぎた過保護も避けるべきです。お子さんの自立を妨げるほどの過保護の弊害は近年いわれている通りです。もし子どもが過剰にママにべったりに育ってしまったら、ある程度成長してから周りからからかわれたり、いわゆるマザコンの大人になってしまってからでは、お互いになかなか大変なのではないかと思います。

いずれにしても、しつけはほどほどにし、いきすぎた過保護の弊害にも充分ご留意ください。
 

子どもの頃の劣等感を引きずらないために「得意分野を作る」

お子さんには、お子さんの世界があります。周りの子どもたちと遊んだりしているうちに、子ども心に「負けている……」と引け目を感じることは、よくあること。そしてそれは、大人になった後まで尾を引くものです。それは自分自身の能力面だけでなく、例えば「周りの子どもたちが皆、親に動物園へ連れて行ってもらっていた頃、自分だけはいくら言っても連れて行ってもらえなかった」といった事も、大人になった後も意外と覚えているものです。

劣等感は子ども心に自信を失わせます。でも自分に自信を持つことができれば、劣等感は和らぎます。何か「得意分野」があれば、自信は出てきますし、その得意なこと自体は、通常、子どものころから、はっきりしていることが多いと思います。

例えば、ダンスの才能があるお子さんなら、無理に苦手なピアノを習わせるよりも、好きなダンスを好きなようにさせることで自信が持てるでしょう。もしかしたら、すごいダンスキッズになって、周りから一目置かれる存在になるかもしれませんし、そこまでのレベルにならなくても、本人が自分に自信を持てるようになれれば、それこそ充分な成果だと思います。
 

子どもの性的発達段階とトラウマとの関わり

さて、ここからは一転、精神医学的な話です。子育て中の親御さんには、子どもの性的発達段階は基礎知識として、覚えておくと役に立つと思います。

性的発達段階とは、少し昔の偉大な精神医学者ジークムント・フロイト(1856~1939)が唱えた概念の一つです。フロイトによれば、人は生まれてからいくつかの性的発達段階を経て大人へと成長していきます。

性的発達段階には、授乳期である「口唇期」(生後18カ月頃まで)、トイレ訓練の時期である「肛門期」(生後18カ月~3歳頃)、異性への関心が芽生えるエディプス期(5~6歳頃)などがあります。フロイトによれば、もしも、子どもが性的発達段階のどこかで、つまづいてしまうと、大人になってから、心の病気のリスクが高まります。

例えば、口唇期で口唇の欲求が充分、満たされなかった場合、大人になってから他人に不信感を持ちやすくなるとされています。また、肛門期に欲求のまま、排泄がやりたい放題だった場合、大人になってから、いい加減な性格になりやすいといった事がフロイトの理論でいわれていますので、親御さんは、お子さんが性的発達段階のテーマを問題無く、こなしているかどうか、目を光らせておいた方がよいかと思います。

また、子どもが大人になってから、心の病気のリスクが高まる代表的原因の一つに、幼少期のトラウマがあります。「交通事故で入院していた時、長期間、家に帰れず寂しかった」「見知らぬ旅先で迷子になって、怖い思いをした」「遊び友達に不幸があった」など、時には、子どもの心が大きく傷つくような出来事が起きてしまう事もあります。小さなお子さんなら、心の辛さをうまく表現できないでしょうが、それでも、もしも、お子さんが何度も夢に出てくるようなつらい体験を口にするような事があれば、親御さんは是非、お子さんの話を聞いてあげて、その体験を過去の事として、お子さんの心の中で終わらせる事ができるように手伝ってあげてみてください。
 

「子は親の鏡」ということもお忘れなく

子育て中の親御さんに変にプレッシャーをかけるつもりはありませんが、子どもは小さいながらも親の言動を隅から隅まで実によく観察しているもの。お子さんが自分の言動を真似しているのに気付いて、思わずドキッとした経験はありませんか? 

実際、親のライフスタイルの影響で子どもが大人になった時、心の病気のリスクが高まってしまう場合もあります。例えば、アルコール依存症などもその一つです。一般に、心の病気は遺伝的、心理的、社会環境的要因がネガティブに相互作用した結果、発症しますが、アルコール依存症の場合、お酒に飲まれてしまっている親の姿が子ども心に複雑な傷を作ってしまい、それが病気のリスクを高めてしまうといわれています。

昔から「子は親の鏡」という言葉もあります。お酒に関するような問題行動はもちろんですが、子どもに真似されたら困るような、ご自分の言動には充分、お気を付けください。

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