元祖いちご豆大福

元祖「いちご豆大福」の店として知られる「大角玉屋」。今年は創業100年を迎える節目の年です。今や春の和菓子として定着したいちご大福。人気の先駆けとなった味を求め、同店を訪ねてきました。
   

「大角玉屋」(おおすみたまや)

「大角玉屋」

「大角玉屋」。本店のほか、銀座店と四谷店がある

創業大正元年の東京は新宿・住吉町の和菓子処「大角玉屋」。同店の看板商品と言えば、現社長で3代目の大角和平さんが、昭和60年に考案した元祖「いちご豆大福」。

ショートケーキを食べていてひらめいたという、和菓子に生のいちごを使うというアイデア。生の果物が和菓子にそのまま使われることはほとんどなかった当時。完成するまでは試行錯誤の繰り返しだったそうですが、いちごを豆大福に入れるという斬新な発想と絶妙な味が評判を呼び、瞬く間にブームになったのだとか。

発売した時期が和菓子もいちごも美味しい冬だったことや、テレビ局が近いなど立地が良かったことも幸いしたとご主人は振り返ります。大角玉屋のいちご豆大福を食べたことのない人も、当時いちご大福ブームが起こったことを覚えている人は多いのでは。
 

元祖「いちご豆大福」

元祖「いちご豆大福」

元祖「いちご豆大福」(230円)創業100年を記念し、今年は当たりクジ付き!

冬から春にかけてのみ「いちご大福」を販売する和菓子店が多い中、同店では年間を通して元祖「いちご豆大福」を販売しています。国産の素材を使うというのが同店のこだわりの1つ。いちごも1年を通して国産のものを使用します。

柔らかく伸びの良い餅生地と瑞々しい餡に果汁たっぷりのいちご。食感も味も異なる素材が違和感なく調和するのは、何度食べても不思議です。同店のものは、餡の甘さや餅のコシが勝ち過ぎていないため、いちごの酸味と食感が引き立ちます。また、普通の大福ではなく、豆大福を使うところが同店ならでは。えんどう豆の食感と塩気は、身の締まったいちごとも好相性。良いアクセントを添えています。
「さくらだいふく」

「さくらだいふく」(210円)紅餡で桜桃を包む。(~4月下旬まで)

ちなみに同店では、季節により「さくらだいふく」や「杏大福」、「東京葡萄大福」、「スイカ大福」なども販売されています。白餡やヨーグルトのクリームを使うなど、いちご豆大福とはまた違う趣がありますのでぜひお試しを。
 

洋の素材を取り入れた和菓子作り 

「とらさんのばなな」

「とらさんのばなな」1個210円

斬新な発想で「いちご豆大福」を考案した「大角玉屋」。ほかにはどのような和菓子を作っているのか興味をそそられるところです。

店頭には「どらやき」や「季節の生菓子」、「みたらしだんご」に「あんだんご」など定番の和菓子と共に、期待通りに独創的なお菓子が並んでいます。たとえば、とら模様の焼き生地で白餡とバナナをくるんだ「とらさんのばなな」に和のアップルパイ「あずき王子」(冬季~4月上旬。今季は終了)。どちらも餡と果物と洋の香りの相性の良さに驚かされます。
「ブランデーどらやき」

「ブランデーどらやき」190円

ところで、同店の創作菓子の特徴は、その多くに香料の代わりに洋酒を使っていること。従来の和菓子にはなかった風味が出せるのが魅力だと大角さんは話します。

私のおすすめ「ブランデーどらやき」はその代表。日持ちのするどらやきは、どうしても焼き立てのどらやきの美味しさには敵わないと感じることが多いのですが、これは逆に日を置くからこそ美味しいどらやき。ブランデーをたっぷり吸わせた皮で、艶やかな粒餡を挟んだどらやきは、ブランデーの香りが全体になじむ数日後こそが食べ頃。餡のコクとしっとりとした皮、ブランデーの深い香りが絶妙なバランスです。

「良い素材で美味しく珍しく、季節を先取りしたものを作る」がモットーという同店。独創的なお菓子はどれも、遊び心がありながらも和菓子の伝統に基づいた、しっかりとした味わいです。
「みたらしだんご」「あんだんご」

「みたらしだんご」「あんだんご」1本各120円

和菓子と生の果物を合わせることにより、和菓子の新境地を切り開いたいちご大福。火付け役となった同店は、伝統を大切にしながらも、創業100年を迎える今年も新しさに挑み続けています。

<店舗情報>
■和菓子処「大角玉屋
本店;東京都新宿区住吉町8-25
TEL:03-3351-7735
営業時間:9:00~19:30
地図:大角玉屋
都営新宿線「曙橋駅」より徒歩すぐ

銀座店;東京都中央区銀座西3-1 
TEL:03-3563-1535
営業時間:10:00~20:00
JR有楽町駅より徒歩5分

四谷店;東京都新宿区四谷3-6 
TEL:03-3358-8612
営業時間:9:00~19:30
東京メトロ丸の内線 四谷三丁目駅より徒歩すぐ

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