高級マンション/高級マンション選び

都心の邸宅街に佇む高級マンションの資産価値

湾岸エリアを中心に超高層マンションの建設が衰えない。飯田橋や虎ノ門などの再開発も活発だ。今後都心は、まだまだ新しい街が増えそう。だが逆に捉えれば、成熟した閑静な邸宅街はより貴重な存在になるのでは。高級マンションの資産価値を左右する背景について考えてみた。

坂根 康裕

執筆者:坂根 康裕

高級マンションガイド

高級マンションの条件

高級マンションの定義は何ですか? と尋ねられたら、決まってこのように答えることにしている。「便利な場所」で「閑静な環境」そして「ゆったりとした広さを有するマンション」。利便性と住環境はなかば相反する条件だから、おのずとエリアは限られる。さらに、コンパクトマンションの比重が上がった昨今、大きな面積の新築物件はかなり少数派になってしまった。

したがって、上記の条件を満たす不動産はおのずと希少性が見出され、資産価値にも期待が持てるというわけである。築20年以上にもなる「広尾ガーデンヒルズ」がいまだステイタスな存在であるのも、この3つを満たしているからだと考えている。

東京の都心部には「住まいとしての憧れの地」を象徴する地域がある。「3A(スリーエー)」と称される青山、赤坂、麻布がそれである。起伏の激しい都心部の高台に位置し、どこにいくにも便利で、大通りから一本入れば都心とは思えない閑静な住宅街が広がっている。
3Aの一画、「港区元麻布」から撮影

3Aの一画、「港区元麻布」から撮影



3Aを細分化

とはいえ、3Aならどこでも似たような雰囲気かといえばそこはさすがに違いがある。下のグラフをご覧いただこう。これは3Aを住所別に昼間と夜間の人口密度をグラフ化したもの。

夜の人口密度にくらべ、昼間が極端に高いケースは、オフィス街や繁華街であるケースが多い。アークヒルズのある「赤坂1丁目」や東京メトロ赤坂見附駅周辺の「赤坂3丁目」などがそれに該当するだろう。また、昼と夜の人口密度が同程度であっても人口密度が高ければ“閑静な”という表現は的確ではないだろう。麻布十番商店街から二の橋にあたる一帯「麻布十番3丁目」などがそのケースではないか。

ひとつの目安として1平方キロメートルあたり20,000人で赤線を引いてみた。昼と夜どちらもそのラインを下回ったのは麻布で8つ、赤坂に2つ。45のアドレスから構成される3Aのなかで、じつにわずか10しかなかった(赤い星印)。
町丁目別、昼夜間人口密度

町丁目別、昼夜間人口密度


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