ある日突然店頭からトマトが消えたそのワケとは?
スーパーやコンビニの店頭からトマト関連の商品が消えたワケとは?
このトマトフィーバーの引き金となったのは2月10日に京都大学の教授らによって発表された研究結果。官民共同の研究グループが、「トマトから脂肪肝などの脂質代謝異常の改善に有効な成分を発見した」とアメリカのオンライン科学誌に発表したところ、多くのメディアがトマトは“メタボ”対策に有効と大々的に取り上げたのです。
やはり、メディアに取り上げられると効果は絶大です。Twitterなどのソーシャルメディアも巻き込んであっというまに口コミが広がり、トマトの爆発的な売上につながったのです。
これまでも、「ダイエットに効果的」とテレビ番組で、納豆やバナナ、黒豆などが取り上げられるたびに消費者が店頭に殺到し、それぞれの商品が品薄になる現象が続いてきましたが、今度はそれがトマトに起こったというわけです。
意図的にメディアに取り上げてもらうパブリシティ戦略が実を結ぶ
今回のトマトの品切れ騒動でもわかるように、マスメディアの売上に対する影響力は甚大といえます。一旦、番組内で紹介されると、爆発的な売上につながっていくのです。たとえば、最近ではファミリーレストランのメニューのランキングを当てる番組なども頻繁に放送されていますが、終了後は大挙してお客が押し寄せ売上が大幅にアップするという状況も続いています。企業は売上をアップさせるために、このようなマスメディアの力を何とか活用しようとするわけですが、マスメディアに取り上げてもらうためには大きく2つの方法があります。
一つは広告であり、もう一つはパブリシティです。
広告とは広告費を負担して自社の商品やサービスを紹介してもらうプロモーション手法になります。そして、もう一方のパブリシティとは、その商品やサービスの話題性から、メディアが自ら取り上げて紹介するもので、マスメディアに対しては原則無料で行うプロモーション手法といえます。
最近では巷に広告が溢れているために、なかなか広告で自社製品をプロモーションしても売れなくなってきています。一方でパブリシティの場合は、マスメディアという信頼のおける第三機関がお墨付きを与えることにより情報の信頼度が増して、広告で紹介する場合と比べて時には何倍もの売上を実現することができるのです。
そこで、企業側からの一方的な情報提供である広告に頼るだけでなく、プレスリリースなどをこまめに流し自社製品の話題性を提供してマスメディアに取り上げてもらうというパブリシティ戦略も企業がマーケティングで成功を収めるために重要度が増してきているといっても過言ではないでしょう。
次のページではトマトの爆発的ヒットに学ぶ『視点をずらして差別化を実現するマーケティング戦略』についてお伝えしていきましょう。次ページへお進み下さい!