子の進学・就職・結婚…巣立ち後に訪れる「空の巣症候群」 

携帯電話を使う女性

子どもが巣立った後の心の「ポッカリ感」は意外に大きい

春の訪れを感じる時期になると、子どもの「巣立ち」を予感する人が増えてきます。大切に育てた子どもが親元を離れていくのは、「うれしいのに切ない」「応援したいのに引き止めたい」、そんな微妙な気持ちになるものだと思います。

生意気ざかりで口応えばかりだった子、世話が焼けて心配の種の尽きなかった子、そんな子どもの世話に追われていた頃には、多くの親が「早く自立してくれないかな。そろそろ自分の時間がほしい……」と願っていたかもしれません。しかし、本当に親元から離れてしまうと、心にポッカリ穴が空いたような感覚を覚えるものです。

このように、子どもの自立後の喪失感から、親の心が不安定になることがあります。これを「空の巣症候群」といいます。ひな鳥の巣立ち後の「空の巣」にたとえられた心の状態です。

燃え尽き症候群にも類似? 子育て熱心な主婦に発症リスク 

karanosu2

家庭とは離れた自分の「生きがい」を持っていますか?

「空の巣症候群」は、子育てに熱心に専念している人ほど注意が必要です。仕事熱心なサラリーマンが、定年後、急に燃え尽き症候群とも言われる喪失感を抱えるように、「子育て一筋」で頑張ってきた母親も、子どもの巣立ち後に同じような心境になることがあります。

例として挙げると、国民的な人アニメ『サザエさん』の母親・フネさんのように、いつでも自分のことを後回しにして家族を第一に考えるような「いいお母さん」ほど、そのリスクは高いと思います。

子育て真っ最中のフネさんは、同居中の長女夫婦、小学生の子どもたち、孫に囲まれ、家の切り盛りに追われっぱなしの毎日です。しかし、いずれは長女夫婦も居を構え、子どもたちも進学や就職で家を離れ、あの磯野家にも急な静寂が訪れるのかもしれません。

そのとき、フネさんはどんな心境になるでしょうか。家庭以外の「生きがい」を持っているなら、その喪失感を薄めることもできるでしょうが、あのフネさんからは、どうしてもそれが見えてきません。だから、私は「フネさんの将来」を思うと、時折心配になってしまうのです。

生きがいづくりは、一朝一夕にできるものではありません。仕事一筋だったサラリーマンが、定年後の趣味や活動を見つけるのに苦労をしているように、生きがいは、人生の転機を迎える前から育てていないと、なかなか自分のものにならないのです。

次のページでは「巣立ち後の親に必要な心構え」について解説します。