モデルルームが抱える事情

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販売センターに仮設されたモデルルームは数あるなかのひとタイプに過ぎない。しかもそれは一番多い住戸プランではなく、角部屋や専用庭のある特殊タイプである場合が多い。さらに室内はリビングを広げたセレクトプランで、飾り棚やアクセントウォールなどの有償オプションを駆使し、高級家具や人の背丈以上あるグリーンを惜しみなく配置している。

演出上手なインテリアデザイナーが手がけた空間はインパクトもあって印象に残る。だからその出来は、当然売れ行きに相関する。ハイグレードマンションであれば、一歩足を踏み入れたら高級感に満ち溢れていること、つまり価格に対する納得を与えることがモデルルームの目的である。

しかし、購入者は(わかってはいても)新居としてそれを観る。実際に買うにしろ(ほとんどの人が)異なるタイプであるにもかかわらず。そして購入後どうなるか。中住戸は角ほど明るいわけはなく、イメージしていたイタリアモダン家具は窮屈に。住まいに大事なのはインパクトではなく、収納の充実ぶりであったり、手入れしやすい設備が何より大切だと住んでから気付く。モデルルームの役割を冷静に理解し売れ行きと住み心地は必ずしも一致しないことを知っておいてほしい。

住んでからの柔軟性も残しておく

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モデルルームと実生活のギャップでいえば照明もそうだ。例えばリビングダイニング全体を明るく照らす照明はモデルルームでは有効だが、実際の場面ではそれほど頻度の高いものではない。大空間をまんべんなく照らすることよりも、食事を楽しむ用にダイニングテーブルをしっかりと照らす灯りやソファでくつろぐのに程良い灯りがそこでは求められよう。

主寝室の真ん中にある引掛シーリングも同様だ。就寝前の読書をイメージすれば手元の本を照らせればそれで十分で、逆に部屋全体を晃晃と照らすシーンのほうがレアケースといえなくもない。そう考えれば、天井中央に用意された照明は中途半端で生活シーンを考えた設備とは言い難い面も。万人共通の規格はときにちょっとしたこだわりにも反することがある。

また今後ますますパソコンやタブレット型端末の普及で、照明にはより可動性が求められるようになるだろう。ライフスタイルの変化に対応できる柔軟性も住まいには必要。照明だけに限らず、長い目でモデルルームを観察したいものである。