発売6ヶ月経たずして40%もの値下げが行われたニンテンドー3DS
8月11日にニンテンドー3DS が値下げされました。新価格は、それまでの定価 2万5千円から一気に1 万円プライスダウンの 1万5千円。最新の携帯ゲーム機が非常に購入しやすい価格になったということで、値下げ当日の家電量販店では待ちきれないユーザーが長蛇の列を作り、さながら発売初日のような様相を呈していました。この値下げにより、『ニンテンドー3DSの8月8日から14 日の週間販売台数は 21万4821台に達し、前週の3701台から実に 58倍の売上を記録して発売直後の 37万1326台に迫る勢いを見せた』と8月17日付の日本経済新聞が報じています。
一見すると任天堂は新価格戦略が功を奏して販売数のテコ入れに成功したようにも見えますが、問題は値下げまでの期間にあります。通常、企業は投入した製品の販売を促進するために値下げを行うことは一般的なマーケティング戦略といえますが、今回任天堂は異例ともいえる新製品発売後わずか 6ヶ月弱での大幅な値下げに踏み切ったのです。
これは明らかに任天堂が新製品の戦略的価格設定に失敗したことを如実に物語っているのではないでしょうか。
新製品を投入する際の戦略的価格設定方法
新製品の価格を設定する際には2種類の戦略から適したものを選べる。
上澄み吸収価格戦略はスキミングプライシングとも呼ばれ、市場に新製品を投入した際に高い価格を設定して、早期に製品の開発資金の回収を図っていく戦略です。この上澄み吸収価格戦略は製品が差別化されている場合に有効な新製品の戦略的価格設定方法になります。
一方で市場浸透価格戦略はぺネトレーションプライシングとも呼ばれ、新製品の市場投入にあたって相対的に安い価格を設定し、一気にマーケットシェアを獲得して市場でのプレゼンスを高めていきます。当初は販売するたびに赤字になる場合もありますが、大量生産によってコストを劇的に低下させて、利益を確保していく戦略です。この市場浸透価格戦略は、潜在需要が大きいと見込まれる場合や、他に同じような商品が存在し、消費者の商品の選択基準が価格にある場合などに有効に機能します。