夏コース
目の前を流れる保津川の天然鮎
鵜飼で名高い夏の嵐山。食べたくなるのはやはり天然の「鮎」。今回は、涼やかなお目当ての器にも期待しながら、この季節を選んで伺いました。
それでは、「京都 吉兆 嵐山本店」による盛夏のコース料理(3万6750円・税サ込)をご紹介しましょう。
・八寸
8月の八寸
真夏の八寸は、大きな蓮の葉に花弁を散らせた、見た目にも涼やかな演出で登場です。内容は、「車海老」「ゴリの佃煮」「鱧鮨」「枝豆のゼリー寄せ」「甘手鰈の揚げ物」「サツマイモ」「じゅんさい」と、実に色鮮やかな四季の彩り。一つ一つの料理に精密な仕事が施されてあり、ルックスの美しさ共々、見事な美味の饗宴です。
・椀物
鱧の椀物
夏の椀物といえば、やはり「鱧」。しかもとろふわな鱧だけでの直球勝負! 器は明治中期に輪島の名工によって作られた「夕顔」の蒔絵椀で供されます。
まず、出汁を一口飲むと深く静かに拡がる旨味と、水の柔らかさ。透明感のある円やかな味わいが印象的です。
一般的な鱧の椀物だと、鱧の出汁(エキス)が、この出汁と混ざり合って、出汁の調和を崩すこともありますが、この椀物は違いました。鱧エキスが混ざっているのに、その出汁の調和が保たれており、この絶妙なバランス感には驚きすらありましたね。
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