高級マンション/ヴィンテージマンション・名作マンション

築25年のホーマットマンションが建て替えられた理由(2ページ目)

「同潤会青山アパートメント」は築76年で解体された。おととし制定された長期優良住宅の当初スローガンは「200年住宅」である。しかし、名作マンションとして知られるホーマットシリーズのなかには築25年で建て替えを決断したものがあった。マンションの寿命は果たして何年なのか。

坂根 康裕

執筆者:坂根 康裕

高級マンションガイド

免震をのぞんで建て替えたマンションも

免震に建て替えたホーマット

免震に建て替えたホーマット

同じく「ホーマットマンション」シリーズのなかには、昨今注目の免震を採り入れた建物にしたいとして建て替えを実現したものがある。いずれ建て替えの時期がくるなら、タイミングの良いところで、地震の揺れを軽減する構造(免震)にしたいという意向だったよう。

どうも建て替えというと、老朽化が引き金になっているような印象を持ってしまうが、現実をよく見てみると、そうでないケースもあるのがわかる。老朽化は将来必然的にやってくる課題には違いないが、そのときが来るまでに、状況のなかで望ましい方法論があれば決断してしまう場合がおもいのほか少なくないようだ。

日本の住宅は寿命が短いと、(どちらかというと)マイナスのイメージで語られることが多いが、こうしてみると耐久性の短さによる寿命ではなく、制度の有効活用や性能の高い建物への生まれ変わり願望が少なからず起因していることがわかる。

マンション建替え実例レポート

マンション建替えレポート

マンション建替えレポート

この春「マンション建替え研究所」を設置した旭化成ホームズが「マンション建替えレポート」と題した冊子を発行した。これまで同社が手がけた10の実例を固有の問題点とその対処法とにわけて箇条書きにして簡潔にまとめたものだ。

同レポートをみれば、マンションの建て替えは個別の話し合いがやはり最も重要であることが理解でき、またそれと同時に建て替えに反対する意見の多くが、現状維持を望んでいるのではなく、資産評価のあり方や建て替えに際しての不安からくるものだということも読み取れる。

耐震強度を満たしていない分譲マンションの耐震化は、今後も根強い社会問題として取り組まれることになる。補強工事で解決を図る場合もあれば、建て替えという選択肢を模索するケースもあるだろう。少ない建て替え実績のなかから、そのノウハウがいかされ、安心安全な建物の割合が増えることを期待したい。

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