栄養管理/栄養管理の基礎知識・食事バランスガイド

ベジタリアン・菜食主義者の栄養管理法・注意点(2ページ目)

ベジタリアン・菜食主義者が最近増えているようです。栄養学的観点からベジタリアンの健康効果と、不足しやすく注意すべき栄養の摂り方について紹介します。たんぱく質、EPA・DHA、鉄分、亜鉛、カルシウム、ビタミンB12など気になる栄養素を上手にカバーし、特に妊娠中・授乳中は工夫して栄養管理するようにしましょう。

一政 晶子

執筆者:一政 晶子

管理栄養士・米国登録栄養士(RD) / 栄養管理・療養食ガイド

ベジタリアンに不足しがちなたんぱく質の摂り方

豆

豆はベジタリアンの強い見方

ベジタリアンの妊婦やスポーツ選手でも十分なたんぱく質を摂取できます。ただし、植物性たんぱく質は動物性たんぱく質より吸収率が低いので、摂取量に注意を払う必要があります。豆・大豆を十分に食べない場合は、必須アミノ酸が不足する可能性がありますので気をつけましょう。


ベジタリアンに不足しがちなオメガ3脂肪酸(EPA・DHA)の摂り方

ベジタリアンはオメガ3脂肪酸であるEPA(エイコサペンタエン酸)やDHA(ドコモヘキサエン酸)の摂取が少なめになりがち。これらの栄養素は目、脳、心臓の健康などに役立ちます。植物性食品から摂取できるオメガ3脂肪酸であるALA(α-リノレン酸)の一部はEPA・DHAに変換されますが、その変換量は個人差が大きいものの10%程度と言われています。特にビーガンでは血中EPA・DHAが少ないという報告もあります。

よって植物性のEPA・DHAサプリメント、EPA・DHAが添加された機能性食品を摂取するのも1つの手段。少なくても十分なALAを摂取する必要があります。ALAはフラックスシード、くるみ、キャノーラオイル、大豆などに含まれます。特に妊婦や授乳婦の場合は、赤ちゃんの発達に必要なEPA・DHAが十分に摂取できているか、細心の注意を払う必要があるでしょう。

ベジタリアンに不足しがちな鉄分の摂り方

植物性の鉄分は、調理法や食べ方の組み合わせにより吸収率が大きく左右されます。植物性の鉄分吸収率は、フィチン酸、カルシウム、コーヒー、お茶、ハーブティーなどによって下がってしまいます。ベジタリアンの人だったらよく聞くはず「フィチン酸」。例えば玄米には多くのフィチン酸が含まれますが発芽玄米だとそのフィチン酸がほとんど失われます。発酵食品である納豆、味噌、テンペなどは体への鉄分吸収率を改善させます。豆・穀類を水に浸し発芽させて食べたり、発酵食品と合わせて食べる方法は、ベジタリアン食が昔から普及している国などでは食の知恵として広く普及しているテクニックでもあります。ビタミンCは鉄分吸収を改善しフィチン酸の阻害を抑える働きもあります。鉄分について色々書きましたが、工夫しても植物性鉄分の吸収はどうしても低くなりがちですので、一般的に推奨されている鉄分量よりも多く摂取する必要があるでしょう。

ベジタリアンに不足しがちな亜鉛の摂り方

ベジタリアン食はフィチン酸が多くなりがちなので亜鉛の吸収が低下します。ベジタリアンの中でも、玄米など精製されていない穀物や豆を日常的に食べる人は、亜鉛に限らずミネラルの摂取量に注意する必要があります。亜鉛は大豆、豆、穀物、チーズ、ナッツ類に含まれます。ここでも豆、穀類、種を水に浸して発芽させるというテクニックを用いると亜鉛の吸収率を改善することができます。菜食主義者では精製されていない穀物等を好む傾向が見られるようですが、白米など精製された食材も取り入れるとよいかもしれません。

次のページで引き続きベジタリアンが気をつけたい栄養素について説明します。
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